ヤクート人(サハ人)は、ロシア連邦の「サハ共和国」を中心に暮らす民族で、人口はおよそ50万人ほどです。
サハ共和国はロシアの北東に位置しており、1つの自治区にも関わらず、なんと日本の約8倍の広さを持つ巨大な地域です。
そして、冬の気温はマイナス40〜50度ほどで、世界で最も寒い地域の一つと言われています。
「そんなに寒いサハ共和国で人が住めるのだろうか?」と思うかもしれません。
しかし、ヤクート人は数千年かけて極寒に適応した生活文化を築いており、マイナス50度でも暮らせるような衣服や住居の知恵を持っています。
今回の記事では、そんなヤクート人について文化・社会・歴史などの視点から分かりやすく紹介していきます。
① ヤクート人の雰囲気

ヤクート人は、かなり東アジア人に近い雰囲気をしている人が多いとされています。
これはシベリア東部の先住民ツングース系や中央アジアに住むテュルク系の人々、つまりアジア系の人々がヤクート人のルーツとなっているからだとされています。
私が写真で見た感じでは、一番ヤクート人に近いと感じたのはモンゴル人で、韓国人や日本人とも少し近いと感じました。
② ヤクート人の文化と暮らし

ヤクート人の住むサハ共和国は冬になるとマイナス40〜50度ほどになると言われています。
そのため、地面が溶けたりすると地表が傾くことがあるので、家は凍った地面に直接建てるのではなく、柱の上に少し浮かせるようにして建てられることが多いと言われています。
冬になるとまるで 「氷の上に建てられた家」 のような状態になります。
また、サハ共和国の中心都市はヤクーツクで、人口は35万人ほどですが、ロシア極東部では最大級の都市です。

このように雪でおおわれた風景がとても特徴的です。
そして、食文化では、魚料理の「ストロガニナ」などがよく食べられています。

日本のお刺身と大きく異なる点は、「ストロガニナ」 は魚が凍っている状態のまま食べるということです。
私は魚を凍ったまま食べるというヤクート人の文化に少し驚きました。
③ ヤクート人の言語

ヤクート人が話すのは「サハ語(ヤクート語)」という言葉で、テュルク語族とよばれるグループに属しています。
テュルク語族にはトルコ語,カザフ語、タタール語などの言語も含まれており、これはサハ語が他のロシアの少数民族の言語や中央アジアの言語、トルコ語とも共通したルーツを持っているということを表しています。
私はこのテュルク語族のグループに属する言語が、中央アジア、トルコ、中国のウイグル、サハ共和国など世界各地に広がっていることに、とても奥深さを感じます。
サハ語の表記はロシアで一般的に使われているキリル文字を用いており、ロシア語の単語も多く取り入れています。
サハ人は家族との会話などではサハ語を使い、ビジネスではロシア語を使うことが多いと言われています。
④ ヤクート人のルーツと歴史

ヤクート人のルーツは、現在のバイカル湖周辺、つまりモンゴルとロシアの国境の近くに住んでいた人々と考えられています。
そして、中世にモンゴル帝国がバイカル湖周辺に勢力を広げた時に、その支配から逃れるために、多くの人々がそのさらに北にある現在のサハ共和国(ヤクート)のある場所へ移り住んだとされています。
17世紀になるとロシア帝国がシベリアに進出していき、ヤクート人の地域もロシアの支配下に入っていきました。
現在もヤクート人はロシア連邦の中に属していますが、サハ共和国はロシア国内で最も自治権を強く持つ地域の一つとされています。
例えば、サハ共和国は独自の憲法を持っていたり、公用語がロシア語とともにサハ語も定められていたりしています。
私はロシアと言うと独裁国家というイメージがありましたが、実際にはその広い国土の中で多くの少数民族が多様性を持ちながら暮らしており、ある程度自由に自治が認められている部分もあると思います。
⑤ ヤクート人の社会

サハ共和国はロシアの中でもダイヤモンドや石油、天然ガスなど豊かな資源を持つ地域です。
特にサハ共和国はダイヤモンドの発掘地として有名で、世界の約30%がこの国で生産されているらしいです。
そのため、ヤクート人の暮らしは資源産業と強く結びついています。
また、ヤクート人はロシアの中でも出生率が高い民族の一つで、若い世代が今後さらに多くなるので、10年後や20年後にはもっと存在感が高まっていくと考えられています。
まとめ

ヤクート人は、極寒のシベリアに適応しながら、独自の文化を築いてきた人々です。
東アジア人に近い外見をしていながら、テュルク系の言語を話し、ロシアの文化の影響を受けているという多文化が重なる珍しい民族です。
ヤクート人を知ることは、ロシアの多様な文化を知るだけでなく、中国のウイグル、中央アジア、トルコまで広がっている 「テュルク世界」 や北方民族の歴史を理解する上でもとても重要だと思います。
