VNGグループとは? ベトナムのメッセンジャーアプリZaloを開発した会社

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VNG Corporation(VNGコーポレーション)は、ベトナムのホーチミン市に本社を持つIT企業で、メッセージアプリ「Zalo」、決済サービス「ZaloPay」、音楽サービス「ZingMP3」などを運営しています。

これらはベトナム人の間では非常に有名なアプリで、特にZaloは、日本におけるLINEのような地位を築いています。

今回は、そんな幅広いITサービスを提供する「VNG Corporation」について、分かりやすく解説していきます。

① VNGグループのサービスを分かりやすく解説

VNGはゲーム会社から始まり、現在ではSNS、決済、音楽、クラウドまで手がける巨大なIT企業へと成長しました。

この章では、それぞれのサービスについて分かりやすく解説していきます。

Zalo(メッセンジャーアプリ)

Zaloは2012年に誕生した国民的なメッセンジャーアプリで、月間アクティブユーザー(MAU)は約7,800万人とされています。

動作が軽く、通信量が抑えられる設計が強みで、通信インフラが発展途上だった時代に急速に普及しました。

チャットよりも音声メッセージでやり取りすることが多いのが特徴です。

ベトナムというとFacebookが使われているイメージが強いですが、Facebook MessengerよりもZaloの方がよく使われています。

また、Zaloは企業や飲食店が公式アカウントを開設できる仕組みが整っており、マーケティングや問い合わせ対応にも利用できます。

そのため、ベトナムでビジネスを行う日本人にとっても、Zaloは非常に重要な集客ツールであり、クライアントとのコミュニケーションを築く上で欠かせない存在です。

ZaloPay(電子決済アプリ)

ZaloPayは、Zaloと連携して使えるスマホ決済サービスで、2017〜2018年頃にユーザー数が拡大しました。

現在のユーザー数は、約1,600万人ほどだとされています。

銀行口座との紐付けが簡単で、QRコードでの支払い、送金、オンライン決済まで、ZaloPayひとつで完結します。

最近では、ベトナムの飲食店などでも、QRコードをスキャンしてZaloPayで支払える店舗が増えてきました。

中国のWeChat Payや、日本のPayPayなどに近い立ち位置のサービスといえるでしょう。

Zing MP3(音楽配信サービス)

Zing MP3は、国内最大級の音楽配信サービスで、月間アクティブユーザー(MAU)は約2,800万人です。

Zaloと同様にベトナム向けに最適化されており、通信が非常に軽いため、地方でも使いやすいのが強みです。

ちなみに、私はZing MP3をインストールしようとしましたが、ベトナム国内からしか利用できないようでした。

そのため、代わりにNCT(NhacCuaTui)というベトナムの音楽配信アプリをインストールしました。

VNG Cloud(クラウドサービス)

VNG Cloudと呼ばれる、データ管理やサーバー運用などを行うクラウドサービスは、2018年以降に急速に力を入れられている新しい事業の柱です。

AWSなどとは異なり、データを国外に送る必要がなく、ベトナム国内で安全に管理できるクラウドとして利用できる点が、VNG Cloudの強みとなっています。

そのため、政府機関や銀行のような「情報を海外に出せない」分野でも、非常に使いやすいとされています。

さらに、Zaloなどのサービスで日々膨大な量のデータを処理してきた経験があり、そのノウハウがクラウド事業にも活かされています。

VinaGame / VNGGames(ゲーム事業)

VinaGameやVNGGamesといったゲーム事業は、VNGの出発点であり、会社の土台ともいえる存在です。

ベトナムでオンラインゲーム市場がまだ小さかった2000年代に、MMORPG(多数のプレイヤーが同時に参加するRPG)を広め、ベトナム国内のゲーム文化の形成に大きな影響を与えました。

現在でもゲーム事業には力を入れており、最近では韓国のNCSoftとの協力や、大型RPGの共同配信も進んでいるとされています。

ゲーム事業が生み出した利益とユーザー層が、その後のZalo、ZaloPay、クラウド事業への拡張を支えたともいえるでしょう。

② VNGグループの創業から現在まで

VNG Corporationは、2004年9月に設立されました。

創業者はLe Hong Minh(レ・ホン・ミン)氏をはじめとする若いエンジニアたちで、当初は「VinaGame」という会社名で、ゲーム事業をメインに行っていました。

2006〜2009年頃にかけては、ゲームだけでなく、ポータルサイト「Zing」、音楽サービス「Zing MP3」、SNS「ZingMe」といった、幅広いデジタルコンテンツやウェブサービスへと進出していきます。

これが、VNGを単なるゲーム企業ではなく、ベトナムの巨大IT企業へと押し上げる基盤となりました。

そして2012年には、モバイルメッセンジャーアプリ「Zalo」をリリースします。

Zaloは、ベトナム語ユーザー向けの通信環境が安定していなくても使いやすい設計が評価され、急速に普及し、国内で国民アプリとしての地位を築きました。

また、2017年にはモバイル決済サービス「ZaloPay」を立ち上げ、スマホ決済やキャッシュレス化の波に乗ります。

さらに2018年以降は、クラウドサービスにも進出し、「VNG Cloud」と呼ばれる企業向けのデータ管理サービスやサーバー運用サービスを提供し、AWSなどに対する競争相手として存在感を高めています。

特にベトナムは社会主義国家であり、実はネット検閲がある国でもあるため、ベトナム政府にとっては、データを国外に置かずに済む国産クラウドの評価が高いとされています。

こうした流れの中で、VNGは「ベトナム初のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場IT企業)」として認められ、国内外から注目を集めました。

③ VNGグループの現在とこれから

VNGグループはメッセンジャーアプリZaloの知名度もあり、ベトナムの国民的なIT企業として広く知られています。

しかし、SNS、決済、クラウドと多方面に事業を広げたことにより、リソースが分散してしまっているそうです。

そのため、どの事業をメインにしていくのかが、VNG Corporationにとって今後の大きなテーマになっていくと考えられます。

また、VNGの今後を考える上で重要なのは、「海外進出」と「AI技術」です。

まず海外進出については、VNGが開発したZaloやZing MP3は、ベトナムでは国民的なアプリとなっていますが、国外ではまだ大きなシェアを持っていません。

しかし、VNGはすでにタイにもオフィスを構えており、東南アジア全体の市場への進出を進めているとみられています。

もし東南アジア全体で普及が進めば、VNGはシンガポール発のGrabのように、世界でも有数の大企業へと成長する可能性があります。

また、AI技術については、Zaloなどに蓄積されたビッグデータを活かし、企業向けのマーケティング最適化、音楽レコメンド、ユーザー行動分析などの分野で、今後さらに発展していくと考えられます。

まとめ

VNG Corporationは、Zalo、ZaloPay、Zing MP3、VNG Cloudなど、ベトナム人の生活を支えるITサービスを展開している、ベトナムを代表する巨大IT企業です。

多角化によるコスト増といった課題はあるものの、AI活用と東南アジア全体への展開が進めば、今後さらに大きく成長する可能性があるでしょう。