トルクメン人とは?「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれる国に住む人々

世界の人々

トルクメン人は中央アジアのトルクメニスタンを中心に暮らす人々で、その人口の約8〜9割を占めています。

そんなトルクメニスタンは「世界で最も謎に包まれた国」と言われており、日本人にはカザフスタンやウズベキスタンと比べても馴染みがないと思います。

その理由には、トルクメニスタンは「中央アジアの北朝鮮」とも呼ばれるほど、出入国のルールが厳しく、旅行する外国人がほとんどいないことが背景にあります。

とはいえ、トルクメニスタンは北朝鮮のようにミサイルを飛ばしたりする国ではなく、永世中立国として穏やかな外交を行っています。

そして、実際にトルクメニスタンを訪れた人の多くが「外国人が珍しいので、現地のトルクメン人はとても親切だった」と話しています。

今回は、そんなトルクメン人について、文化・言語・社会などの視点から分かりやすく紹介していきます。

① トルクメン人の外見と雰囲気

トルクメン人の顔立ちは、中央アジアの遊牧民にイラン人の雰囲気が混ざった印象を受けます。

これは、トルクメン人がもともと中央アジアのテュルク系遊牧民をルーツとしながら、イランの北に位置しているため、イラン系の人々とも多く混血してきたことが関係しているとされています。

② トルクメン人の文化と暮らし

トルクメン人の文化と暮らしは、「砂漠」と共にあると言ってもよいでしょう。

というのも、トルクメニスタンは国土の大部分が砂漠という、非常に珍しい地形を持つ国だからです。

そのため、トルクメン人はかつて、ラクダなどの家畜とともに移動しながら生活することが一般的でした。

現在は都市化が進んでいますが、ラクダや移動式テントなど、遊牧文化は依然として強く残されています。

そして、トルクメニスタンの首都アシガバードは、中心部に大きなモスクがあり、その周囲に白い高層マンションが整然と並ぶ、独特の街並みが特徴です。

そのため、アシガバードは「世界一白い都市」とも呼ばれています。

日常食では、「プロフ」と呼ばれる中央アジア名物の炊き込みご飯がよく食べられています。

ちなみに「プロフ」の発祥はウズベキスタンですが、トルクメニスタンでも主食のように食べられています。

③ トルクメン人の言語

トルクメン語は、テュルク語族と呼ばれるトルコ語やカザフ語などと近い関係にあります。

しかし、調べてみると、トルクメン語とトルコ語、カザフ語は確かに似ているものの、相互理解はそれほど簡単ではないと感じました。

実際に、「私は朝ご飯を食べました。」という文章を、トルクメン語・トルコ語・カザフ語で作ってみました。

トルクメン語:Men ertirlik nahar iýdim.

トルコ語:Ben kahvaltı yaptım.

カザフ語:Men tañğy as istep jedim.

この3言語は確かに似ていますが、発音や語彙の違いも多いことが分かります。

私自身、トルクメン語とトルコ語は名前が似ているため、もっと近い言語だというイメージを持っていたので、少し驚きました。

また、トルクメニスタンはかつてソ連の一部だったため、現在でもロシア語が広く使われており、約40%ほどのトルクメン人がロシア語を話せるとされています。

④ トルクメン人のルーツと歴史

トルクメン人のルーツは、先ほど述べた通り、テュルク系の遊牧民とイラン系の定住民が混ざり合ったことに始まるとされています。

11〜12世紀ごろには、トルクメン系の部族が現在のトルコへ移動し、その一部は後にオスマン帝国を築くトルコ人の祖先にも大きな影響を与えたとされています。

その後、18〜19世紀にはロシア帝国が中央アジアへ進出し、トルクメン人が住む地域も次第にロシアの支配下に入っていきました。

そして20世紀にはソビエト連邦の一部となり、1991年のソ連崩壊後にトルクメニスタンとして独立しました。

⑤ トルクメン人の社会

トルクメン人が暮らすトルクメニスタンは、「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれる国であることから、「貧しい国なのでは?」と思った方も多いかもしれません。

しかし、実はトルクメニスタンは世界有数の天然ガス資源を持つ国であり、比較的所得水準が高い国です。

また、トルクメニスタンでは強力な個人崇拝が行われてきました。

特に初代大統領ニヤゾフの時代には、街中に金色の大統領像が建てられ、カレンダーの月の名前を自分の家族名に変更し、学校ではニヤゾフの著書『ルフナマ』が必修科目になるほどでした。

そして、トルクメニスタンは世界でも珍しい「永世中立国」の独裁国家です。

永世中立国とは、簡単に言うと、他国と協力も敵対もしない立場を取る国のことです。

トルクメニスタンはこの永世中立国という立場を活かし、ロシアやイラン、ヨーロッパなど幅広い地域に天然ガスを供給できる体制を築くことで、安定した発展を実現してきたとされています。

まとめ

トルクメン人は、トルコやイランに近いルーツを持ちながら、砂漠の遊牧文化を背景に独自の文化を発展させてきた人々です。

国としては「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれるほど閉鎖的な独裁国家ですが、文化的には非常に奥深い魅力を持っていると感じます。