タミル人(Tamil)は、インド南部のタミル・ナードゥ州を中心に暮らす民族で、人口は約7,000万人です。
また、マレーシアやシンガポールなどにも多くのタミル人が移住しており、世界各地にネットワークを持つ人々としても知られています。
そんなタミル人はインドの先住民の1つであり、その中でも一番歴史が長く、「インドの奥深さ」を象徴する人々といえるでしょう。
今回の記事では、タミル人の文化・社会・歴史について分かりやすく解説していきます。
① タミル人の雰囲気

タミル人は、茶色っぽい健康的な肌に黒い髪と瞳を持っている人が多いとされています。
私が見た感じでは、北インドの人よりも少し南国的で、顔立ちはやわらかく穏やかな雰囲気の人が多いと思いました。
また、遺伝的には、タミル人は北インドの人々とはかなり遠いとされています。
Fstという遺伝的な距離を示す指標があり、これによると北インド人と南インド人の差は0.015〜0.025ほどとされています。
これがどのくらい離れているかというと、日本人と韓国人の遺伝的な差よりも大きいとされています。
つまり、北インド人と南インド人は1つの「インド人」という括りにされがちですが、実際にはルーツが全く異なる存在なのです。
② タミル人の文化と暮らし

タミル料理は、ドーサなどが有名です。
ドーサは上記の写真のような食べ物で、とても形が印象的です。
私も食べたことがありますが、北インド料理、つまりナンなどの味わいとはまた異なる魅力がありました。
タミル語圏の都市では、州都チェンナイが経済や文化の中心とされています。
チェンナイはカラフルな寺院がとても特徴的です。

また、チェンナイは南インド映画「コリウッド(Kollywood)」の拠点としても知られています。
「コリウッド」という名前はあまり知られていないかもしれませんが、実はボリウッドよりも映画の制作本数が多い年もあります。
インド映画に興味がある人は、ぜひ一度コリウッド映画も見てみると面白いでしょう。
③ タミル人の言語

タミル語(Tamil)は、インド最古の言語の一つであり、2,000年以上の歴史を持っている言葉です。
言語系統は北インドのヒンディー語などとは完全に異なり、ドラヴィダ語族とよばれるグループに属するインド独自の言語系統です。
かつて南部で広東語や上海語など多くの言語が使われていた中国が、最終的に北京語に統一されたように、インドがヒンディー語で統一できないのは、そもそも言語の系統自体がまったく異なるという大きな理由があるように思います。
また、タミル語など南インドの言語はタイ語など東南アジアの言語にも大きな影響を与えています。
実際、文字を見比べてみるとタイ語とタミル語が似ていると感じました。
④ タミル人のルーツと歴史

インドの人々はもともとインドに住んでいた「ドラヴィダ系」と、約4,000年前にイランや中央アジアから移り住んできた「アーリア系」の2つに大きく分けられます。
タミル人をはじめとする南インドの人々は、このうちの「ドラヴィダ系」のグループに属しており、北インドのデリーなどとは少し異なる文化や雰囲気を持っています。
その歴史はとても古く、タミル人は紀元前3世紀ごろにはすでに高度な文明を持っていたといわれています。
この南インド独自の文明は「ドラヴィダ文明」と呼ばれ、タミル人は今も自分たちの言葉と伝統に強い誇りを持っています。
一方で、現代インドでは、ヒンディー語を国全体に広めようとする政策が進められており、北インド中心の考え方に南インドの人々が反発することも多いです。
特にタミル人の間では、「自分たちはデリーの人々とは違う」という意識が強く、独自の文化を守ろうとする考え方が今でも根強くあります。
⑤ タミル人の社会と経済

タミル人は政治意識が高く、タミルとしての誇り、つまり「タミル・アイデンティティ」をとても大切にしている人々です。
実際、インド独立後、ヒンディー語を国の共通語にしようとする動きにタミル人たちは強く反発し、「私たちは南インドの誇りを守る」と訴える運動を起こしました。
この考え方は、インドという国の多様でバランスの取れた文化をよく表しています。
まとめ

タミル人は、インドの中でも最も古い歴史と独自の文化を持つ民族です。
インドの奥深さに強く惹かれるという方は、デリーやムンバイの人々の文化だけでなく、タミル人の文化も体験してみるといいと思います。
実際、私もタミル語のヒット曲を聴いてみたり、南インドの料理を食べたりしたら、北インドの文化とはまた違った良さがあると感じました。
