セルビア語は、主にバルカン半島のセルビアを中心に話されている言語です。
話者数は約900万人とされており、ヨーロッパの中では比較的小規模な言語に分類されます。
セルビア語というとマイナーな言語に感じられるかもしれませんが、クロアチア語やボスニア語、モンテネグロ語などとも非常に近く、これらも合わせると、話者人口は約2,000万人ほどになります。
そのため、セルビア語を学ぶことで、セルビア人だけでなく旧ユーゴスラビア全体の人々とコミュニケーションを取れるようになるのです。
この記事では、セルビア語の文字・単語・文法・発音の特徴と学ぶメリットについて、初心者向けに分かりやすく解説していきます。
① セルビア語の文字 ― キリル文字とラテン文字を両方使う ―

セルビア語の最大の特徴のひとつが、キリル文字 (ロシア語で使われている文字)とラテン文字 (英語で使われている文字)の両方を使うという点です。
そのため、たとえばセルビア語では 「ありがとう」 という言葉は以下の2通りで表記します。
キリル文字:Хвала
ラテン文字:Hvala
一般的に公的文書ではキリル文字、日常生活・インターネットではラテン文字が使われるそうです。
これはインドのヒンディー語が、公的文書ではデーヴァナーガリー文字、SNSではラテン文字が使われるのとも少し似ていると思います。
そのため、セルビア語はロシアとヨーロッパの間の文化圏に属しているということができるでしょう。
② セルビア語の単語 ― バルカン半島の周辺言語とほぼ共通 ―

セルビア語は、クロアチア語やボスニア語、モンテネグロ語と90%以上の語彙が共通していると言われています。
そのため、これらの言語とはセルビア語を使ってほぼ問題なくコミュニケーションを取ることができます。
例えば「水」という単語は、
セルビア語:voda
クロアチア語:voda
ボスニア語:voda
と、完全に同じ形になります。
また、セルビア語はロシア語とも似ている部分が多く、ロシア語を学んだことがある方はスムーズに覚えやすいと思います。
③ セルビア語の文法 ― 語尾の変化が多いが、語順は柔軟 ―

セルビア語の文法の大きな特徴は、名詞の語尾が文中で変化するという点です。
セルビア語には 7つの格 があり、「〜が」「〜を」「〜に」「〜と」などの意味を語尾の変化で表します。
例えば「都市」という単語 grad は、
grad
grada
gradom
というように形が変わります。
一方で、語順は比較的自由で、基本は SVO(主語→動詞→目的語)ですが、強調したい語を前に出すことも可能です。
これはロシア語とも似ている特徴です。
また、動詞は主語に応じて活用します。
例えば「行く」という動詞 ići は、
idem(私は行く)
ideš(あなたは行く)
ide(彼・彼女は行く)
のように変化します。
そのため、文脈が明らかな場合には主語が省略されることもよくあります。
④ セルビア語の発音 ― 規則的で聞き取りやすい ―

セルビア語の母音は、
a / e / i / o / u
の5種類のみで、日本語と同じくとてもシンプルです。
一方で、子音の数は25つと多く、日本語には存在しない音も含まれています。
例えば、
š [ʃ]:英語でいうsh
č [tʃ]:英語でいうch
đ [dʑ]:柔らかい jの音
などがあります。
ただし、セルビア語は英語のような”about” と “make” の “a”の発音が異なるということがなく、スペルと発音の対応が明確なため、慣れてくると比較的スムーズに発音できるようになります。
⑤ セルビア語を学ぶメリット ― 旧ユーゴスラビア圏で広く使える―

セルビア語を学ぶ最大のメリットは、実質セルビアのみならず旧ユーゴスラビア地域全体で使えるということです。
セルビア語が分かれば、クロアチアやボスニア、モンテネグロといったバルカン半島の国々でもほぼ同じ感覚でコミュニケーションが取れるからです。
そのため、バルカン半島に興味がある方にとってセルビア語を学ぶのはとても良い選択肢の1つになると思います。
まとめ
セルビア語は、バルカン半島を中心に話されているスラヴ系の言語です。
一見するとマイナーな言語に感じられるかもしれませんが、クロアチア語やボスニア語、モンテネグロ語と非常に似ており、実際には広い地域で通じる実用性を持っています。
