ペルシア語の特徴|詩と文化を支えてきた中東の古典言語

世界の言語

ペルシア語は、主にイランやアフガニスタン、タジキスタンなどで使われている言語です。

ペルシア語というとイランで話されている言語というイメージがありますが、実際にはアフガニスタンでは 「ダリー語」、タジキスタンでは 「タジク語」と名前は違うもののほとんど同じ言語が話されています。

また、イランで話されるペルシア語はファールシー語と呼ばれることもあります。

これは古代ペルシアの中心地 「ファールス地方」に由来しているそうです。

そのため、イランやアフガニスタン、タジキスタンの人口を合わせると、約1億3,000万人となり、日本語よりも使われている言語グループと言えるのです。

イランやアフガニスタンは日本人にとって気軽に行けない国になっていますが、タジキスタンは政治的には安定しているため、ペルシア語を学んでいる人は代わりにタジキスタンを訪れる人が多いそうです。

ただタジキスタンは発展途上国であるので、スマホがあまり普及していないことやネットが繋がりにくいことなど不便点もいくつかあるようです。

また、ペルシア語はアラビア語と同じ文字を使うため混同されがちですが、言語としては全く別のグループに属しており、文法や語彙、発音は大きく異なっています。

これは日本語と中国語の関係にも似ていると思います。

この記事では、ペルシア語の文字・単語・文法・発音の特徴と、ペルシア語を学ぶメリットについて、分かりやすく解説していきます。

① ペルシア語の文字 ― アラビア文字をもとにしている ―

ペルシア語は、アラビア文字をもとにした文字を使って書かれます。

また、アラビア語と同様に、右から左に書く言語である点も特徴です。

ただし、ペルシア語にはアラビア語には存在しない音がいくつかあります。

例えば、

پ(p)、چ(ch)、ژ(zh)、گ(g)

などがあります。

またアラビア語と同じく、単語の位置によって文字の形が変化します。

例えば「b」の音を表す文字は、

ب(語頭)

ـبـ(語中)

ـب(語末)

というように変わります。

この点は、最初は少し覚えにくく感じるかもしれません。

② ペルシア語の単語 ― 英語やアラビア語、ヒンディー語とも似ている―

ペルシア語の単語は、インド・ヨーロッパ語族に属する言語であり、英語などと共通する部分もあります。

例えば、ペルシア語の「兄弟」という単語は英語とよく似ています。

ペルシア語 : برادران (baradar)

英語 : brother

これには私は少し意外に感じられました。

なぜならイランというと欧米から制裁を受けている国であり、イランの言語であるペルシア語も英語など欧米の言語の影響をあまり受けていないと思っていたからです。

これには、英語とペルシア語が同じ「インド・ヨーロッパ語族」に属していて、数千年前までは共通のルーツを持っていたことが関係しているそうです。

また、ペルシア語は7世紀にイランがある地域がイスラム化した時に、アラビア語から大量に語彙が入ってきたため、アラビア語とも共通している単語がたくさんあります。

例えば、「本」という単語はお互いとても似ています。

ペルシア語 : کتاب (ketab)

アラビア語 : كتاب (kitab)

このようにペルシア語はアラビア語や英語などの欧米の言語とも似ているのが特徴です。

さらに、ペルシア語はインドで一番使われている言語であるヒンディー語とも共通点があります。

例えば、「世界」という単語はペルシア語とヒンディー語でよく似ています。

ペルシア語:جهان(jahān)

ヒンディー語:जहान(jahān)

これには、数千年前にアーリア人とよばれるイラン周辺の地域の人々がインドに移り住んできたことや、インドのムガル帝国 (16~19世紀)では宮廷でペルシア語が使われていたことなどが関係しています。

そのため、インド人はペルシア語は上品で高級感のある言語と思うことも多いそうです。

③ ペルシア語の文法 ― 語順は日本語と同じSOV ―

ペルシア語の基本的な語順は、日本語と同じSOV(主語 → 目的語 → 動詞)です。

例えば「私は本を読む」という文は、

من کتاب می‌خوانم (man ketāb mikhānam)

私/本を/読む

という語順になります。

この点は日本人学習者にとっては理解しやすいポイントといえるでしょう。

さらにペルシア語は、名詞を男性・女性で使い分ける必要がなく、英語の”a” や “the” にあたる冠詞も存在しないため、シンプルに表現することができます。

そのため、文法はアラビア語などの中東の言語の中ではかなりシンプルで分かりやすいと感じる人も多いです。

④ ペルシア語の発音 ― 日本人にも比較的やさしい ―

ペルシア語の発音は基本的にはシンプルですが、日本語にはない音もいくつかあります。

例えば、

خ(kh):喉の奥で出す「ハ行」に近い音

ق(gh / q):のどの奥を軽く震わせて出す「低いガ」

などです。

これらは日本人学習者は慣れる必要がありますが、たくさん発音してリスニングもすれば身に付けられると思います。

また、英語の”apple”と”make”の”a”の発音が違うというようなことはペルシア語にはあまりなく、基本的に文字通りに読めば通じやすいのも特徴です。

⑤ ペルシア語を学ぶメリット ― ペルシャ文化の深い伝統を感じられる ―

ペルシア語を学ぶメリットは、主に2つあると思います。

1つ目は、イランの奥深い文化を理解することができるということです。

ペルシア語は、詩や文学、哲学の伝統がとても長い言語として知られています。

ルーミーやハーフェズといった詩人の作品は、今でもイランや周辺地域で広く親しまれています。

2つ目は、イランだけではなくアフガニスタンやタジキスタンなどでも通じるということです。

これら3つの国を合わせると人口は約1億3,000万人ほどになり、ペルシア語話者はかなり多いといえるでしょう。

また、イランは中東の中でも有数の資源大国であり、もし今後国際的に協調していくようになっていけば、先進国に近い水準にまで発展するといわれることもあるそうです。

そのため、潜在的に大きな可能性がある言語といえます。

まとめ

ペルシア語は、アラビア文字を使いながらも、文法がシンプルで、英語と共通する語彙も多く、日本語話者にも学びやすい言語です。

中東の歴史や文化を深く理解するための手段として、ペルシア語はとても魅力的で、価値の高い言語だと言えるでしょう。