Paytm(ペイティーエム)は、2010年に設立されたインド最大級のデジタル決済・金融サービス企業です。
QRコード決済、個人間送金、公共料金の支払い、チケット予約、金融サービスまで幅広く手がけています。
インドでは「スマホでお金を送る・払う」といえばPaytm、というレベルで知名度が高く、日本で言うPayPayのような存在といえます。
インドのデジタル決済市場は、Paytm・PhonePe・Google Payの3社が強いのですが、Paytmはその中でも最も早く国民的サービスになったと言われることが多いです。
この記事では、Paytmの事業内容・これまでの成長・今後の展望を、できるだけ分かりやすく紹介していきます。
① Paytmの事業を分かりやすく解説
Paytmは、単なるスマホ決済アプリではなく、インド人の生活に深く入り込んだ総合的な金融プラットフォームです。
そのため、光熱費やインターネット料金の支払いや金融サービスなども対応しています。
ここでは主な事業を一つずつ見ていきます。
デジタル決済(QR・送金)

Paytmのメインとなる事業は、QRコード決済と個人間送金です。
屋台、個人商店、タクシーなど、インド中のあらゆる場所にPaytmのQRコードが貼られており、スマホ1台あればすぐに支払いが完了します。
登録ユーザー数は3億人以上、加盟店数は2,500万店舗超とされていて、数字を見てもインド最大級であることが分かります。
現金文化が強かったインドで、「現金を出さずにお金を払える」という体験を一気に広めたのがPaytmでした。
特に2016年の高額紙幣廃止の時には、流通していた現金の約86%を占めていた500ルピー札と1,000ルピー札が突然使えなくなりました。
その結果、インド全体で現金がほとんど使えない状態になり、日常の支払いそのものが難しくなります。
このタイミングで、現金の代わりとして一気に使われるようになったのがPaytmでした。
現金もお釣りも不要で、スマホがあればすぐに支払えるPaytmは、混乱した状況の中で「とりあえず使える手段」として急速に普及していきました。
このように「便利だから使われた」というより、使わないと生活が回らない状況になって、国全体が一気にPaytmに切り替わったのは、他の国ではあまり見られず、とてもインドらしい出来事だと思います。
光熱費やインターネット、交通機関の支払い

Paytmを使って、電気代や水道代、ガス代、携帯料金、インターネット料金など、生活に必要な支払いをまとめて行うことができます。
さらに、電車やバス、映画、航空券の予約まで可能で、支払い系は全部Paytmで済ませることも可能と言えます。
つまり、「電気代を払う → ついでに携帯料金 → 映画のチケットを取る」といった流れが、アプリを切り替えずに全部できるのです。
こうした便利さもあり、Paytmの月間アクティブユーザー数は約1億人規模とされており、インド人の生活インフラとして定着しています。
金融サービス(銀行・融資・投資)

Paytmは決済だけでなく、金融サービスにも本格的に進出しています。
子会社のPaytm Payments Bankを通じて、少額預金やデビットカード、給与受取サービスなども提供しています。
また、中小商店向けの融資や、個人向けの保険・投資商品も扱っています。
インドの人口の約11%を占めるとされる「銀行口座を持っていなかった層」に金融サービスを届けた点は、社会的なインパクトが大きいと思います。
② Paytmのこれまでの歩み

Paytmは2010年、起業家のVijay Shekhar Sharma (ヴィジャイ・シェーカル・シャルマ)によってデリー首都圏のノイタで設立されました。
最初の頃は、携帯電話のプリペイドチャージサービスとしてスタートしています。
転機になったのが、2016年のインド政府による高額紙幣廃止(デモネタイゼーション)です。
突然、現金が使えなくなったことで、国民の間でデジタル決済が一気に広がり、Paytmは爆発的にユーザー数を伸ばしました。
実際、2016年11月に高額紙幣の廃止が行われる前、Paytmのユーザー数は約2,000万人規模でした。
それが、紙幣廃止をきっかけに急速に拡大し、2017年初頭には約1億人に達したといわれています。
そして2017年には、SoftBankなどから大型出資を受け、企業価値は100億ドル超に到達します。
そして2021年、PaytmはNSE(インド国立証券取引所)とBSE(ボンベイ証券取引所)の2つに上場を果たしました。
③ Paytmのこれからの展望

今後のPaytmは、決済アプリという枠を超え、インドの生活に深く根ざした総合金融プラットフォームへ進化していくと考えられます。
インドにおいてキャッシュレス化が進む一方で、銀行口座やクレジットを十分に使えていない層は農村部や地方などに依然として多く、そこにサービスを届けることが重要になります。
また、中小商店向けの融資や個人向けの保険・投資サービスを強化し、日常の支払いから金融までを一体で支える存在を目指していくでしょう。
PhonePe(Walmart傘下)やGoogle Payとの競争は激しいものの、すでに築かれている巨大なユーザー基盤を活かした展開には、今後も大きな期待が集まります。
まとめ
Paytmは、PhonePeとGoogle Payと並ぶインド最大級のデジタル決済プラットフォームです。
店舗でのQR決済を軸にしながら、公共料金支払い、送金、融資、投資などにまで広げていき、インドのキャッシュレス化を一気に進めました。
Paytmのインドの金融インフラとしてのポジションは非常に強く、今後も農村部や地方を中心に成長の余地は大きいと考えられます。
