Oil and Natural Gas Corporation(ONGC)は、1956年に設立されたインド最大の国営の石油・天然ガス開発会社です。
上流工程とよばれる、原油や天然ガスを探して生産するのが主な仕事で、インド国内で生産される原油の約70%、天然ガスの約60%をONGCが担っています。
インドの大手石油会社のIndian Oilが「石油を売る会社」 だとすると、ONGCは 「石油を掘り出す会社」 といえます。
この記事では、ONGCの事業内容・これまでの成長・今後の展望を、できるだけ分かりやすく紹介していきます。
① ONGCの事業を分かりやすく解説

ONGCの仕事はシンプルで、石油・天然ガスを見つけて、生産することが中心です。
ここではONGCが行っている事業を分かりやすく解説していきます。
石油・天然ガスを探して生産する事業
ONGCの一番の強みは、インド最大級の油田やガス田を自社で持っていて、それを運営しているということです。
代表的な生産エリアには、ムンバイ沖油田やKG盆地、アッサム盆地、ラージャスターン油田などがあります。
中でもムンバイ沖油田は、1970年代から稼働しているインド最大級の海洋油田で、今もなお、インドの原油生産の中心的存在です。
ムンバイというと人がたくさん集まる大都市のイメージが強かったので、その近くに大きな油田があるというのはとても意外に感じられました。
ONGCの年間生産量はおおよそ原油が約2,000万トン、天然ガスが約200億立方メートルあり、この規模はインド国内でトップクラスです。
深海などの難易度の高い資源開発
ONGCは、水深数千メートルほどの深海などの難しい条件の油田開発にも強い会社です。
特に有名なのが、ベンガル湾沖のクリシュナ・ゴダヴァリ盆地で進められている「KG-DWN-98/2」と呼ばれる深海ガス開発プロジェクトです。
このプロジェクトでは、インド東海岸・アーンドラ・プラデーシュ州沖のベンガル湾にある水深約2,000mくらいの深海から天然ガスを生産しており、インドのエネルギー自給率向上に大きく貢献しています。
このような大規模な油田開発は日本ではほとんど見られず、資源大国であるインドだからこそ可能な取り組みだと言えるでしょう。
海外での資源開発(ONGC Videsh)
ONGCはインド国内だけでなく、海外での資源開発にもかなり力を入れています。
その中心とされているのが、ONGC Videsh(OVL)です。
OVLは現在、ロシアのサハリン、ブラジル、ベトナム、UAE、モザンビークなど、15か国以上で資源開発プロジェクトに参加しています。
インドの大手石油企業が、日本の北にあるサハリンでも活動しているというのには少し意外に感じられました。
② ONGCのこれまでの歩み

ONGCは1956年、インド政府が「エネルギーを自国で確保したい」という目的のもと設立されました。
独立直後のインドは、石油やガスのほとんどを中東などからの輸入に頼っており、エネルギー面ではかなり不安定な状態でした。
そこで政府とともにONGCが石油や天然ガスを探していき、1974年にはムンバイ沖油田を発見しました。
これがONGCの成長の大きな転機になります。
そして1990年代の経済自由化以降は、ONGCもそれに対応していき、株式会社化や上場に向けた準備が進められました。
また同じくらいの時期に、インド国内だけでは将来の需要をまかないきれないと考えたことから、海外での資源開発 (ONGC Videsh)も本格化します。
さらに、最近では「KG-DWN-98/2」と呼ばれるインド東海岸・ベンガル湾沖のKG盆地で進む深海案件が進んでおり、2020年にはガス、2024年にはオイルが初めて発見されました。
③ ONGCのこれからの展望

ONGCは今後、石油やガスを軸にしつつ、再生可能エネルギーなどの環境に優しいエネルギーにも本格的に力を入れていくと考えられています。
まずこれまでの主力事業では、インド最大の油田であるムンバイ沖油田などの生産効率を高め、国内の原油や天然ガスの供給を安定させる方針です。
一方でエネルギー転換にも積極的で、2030年までに再生可能エネルギーの容量を10GW規模まで拡大する目標を掲げています。
10GWというと、東京23区クラスの都市を丸ごとカバーできる規模なので、かなり大きいことが分かります。
そして、太陽光や風力に加え、グリーン水素やCCUS(CO₂回収・貯留)にも投資を進めており、2038年までに自社事業のCO₂排出を実質ゼロにする計画を立てています。
石油会社でありながら、再生可能エネルギーと脱炭素も進めている点が、ONGCの大きな特徴と言えるでしょう。
まとめ
ONGCは、インドで最も大きい国営の石油・ガス会社です。
インドで使われる原油や天然ガスの多くを作っていて、エネルギーの土台を支えている存在といえるでしょう。
ムンバイ沖の油田や深海にあるガス田、さらには海外での資源開発にも取り組んでいて、できるだけインド自国でエネルギーを確保する役割を担ってきました。
最近は石油やガスだけでなく、再生可能エネルギーや脱炭素分野にも本気で力を入れ始めています。
ONGCは国営企業なので、どこか昔ながらで保守的なイメージを持っていたのですが、実際には将来のエネルギーも見据えて動いており、意外と先進的な一面もある会社だと感じました。
