M_Service(Mサービス)は2007年に設立され、ベトナム最大の電子ウォレットであるMoMoを運営する会社です。
MoMoは、支払いや送金、保険、投資までをスマホひとつでできるアプリで、現在ではベトナムの日常生活において欠かせないインフラとなっています。
実際、現在のMoMoのユーザー数は約3,000〜3,100万人とされており、電子ウォレット市場では約68%のシェアを持っていると言われています。
ベトナム国内で最も広く使われているキャッシュレスサービスのひとつです。
今回の記事では、Mサービスの成長ストーリーやMoMoの主なサービス、そして今後の可能性について分かりやすくまとめていきます。
① M_Serviceの主なサービス
Mサービスが提供するMoMoは、単なる「支払いアプリ」という枠を超え、日常のさまざまな場面で使われるスーパーアプリとなっています。
ここからは、MoMoの代表的な機能について分かりやすく解説していきます。
MoMo Wallet(QR決済や送金)

MoMoでもっとも利用されている基本機能が「MoMo Wallet」という電子ウォレットです。
スーパーやコンビニ、カフェなどでQRコードをかざすだけで支払いができます。
日本で言うと、PayPayのような立ち位置といえるでしょう。
MoMo Pay Bills(生活費などの支払い)

電気代や水道代、インターネット料金、学費、保険料など、生活に関わる支払いはこの「MoMo Pay Bills」で対応できます。
ベトナムのホーチミンなどの都市部では、月々の支払いをMoMoで完結させる生活が一般化しつつあります。
MoMo eTicket(映画やバス、航空券、ホテルなどの予約)

MoMo内にあるミニアプリ「MoMo eTicket」から、映画や航空券、ホテルなどを予約することができます。
ベトナムで有名な航空会社であるVietJet Airなどとも提携しています。
決済アプリでありながら、旅行にも使える点がMoMoの面白いところだと思います。
MoMo Insurance(保険の購入・更新)

MoMo Insuranceでは、さまざまな分野の保険を購入することができます。
ベトナムならではといえるのが、医療保険や旅行保険、家財保険に加えて、バイク保険を購入する人が多いという点です。
アプリで簡単に購入や更新ができるため、とても便利なのが特徴です。
MoMo Invest & Saving(投資・積立)

MoMo Invest & Savingでは、10,000〜50,000VND(約60〜300円)といった少額から投資を始めることができ、若い世代でも参加しやすいのが特徴です。
MoMoウォレット内で完結するため、貯金感覚で投資を行うことができます。
例えば、年利3〜6%の低リスクファンドもあり、銀行預金より少し増えることから、若い世代を中心に利用が広がっています。
MoMo e-Government(税金などの支払い)

MoMo e-Governmentは、税金などの国家サービスの支払いにも対応しています。
MoMoはQRコード決済や公共料金の支払いだけでなく、政府公式の決済にも使われている点が非常にすごいところだと思います。
② M_Serviceの創業から現在まで

Mサービスは2007年に、Nguyễn Thị Minh Hiền(グエン・ティ・ミン・ヒエン)らによって設立されました。
当時のベトナムでは、まだ現金払いが当たり前で、キャッシュレスはほとんど普及していませんでした。
そのような状況の中、Mサービスはまず携帯電話へのチャージを行う小さなスタートアップとして事業を開始しました。
そして2010年には、MoMoの前身となる「Mobile Money」をリリースします。
「Mobile Money」は、SIMカードに残高を入れて利用する電子ウォレットとしてサービスが始まり、ガラケーなどでも送金やチャージができる仕組みを持っていました。
これにより、銀行口座やスマートフォンを持たない人でも、気軽にお金をやり取りできるようになり、ベトナム国内で利用者が一気に増えていきました。
2013年には、ベトナム南部10省に取扱拠点が広がり、ゴールドマン・サックスから大型の出資を受けます。

この投資が、Mサービスの成長を大きく加速させるポイントとなったと言われています。
その後、スマートフォンの普及が進み、2014年にはアプリ版のMoMoがリリースされました。
2016年には、ゴールドマン・サックスおよびStandard Chartered PEからさらに大型の出資を受けます。
この金額は当時のベトナムでは非常に大きな投資額であり、MoMoは国内で一気に知名度を高めていきました。
2020年頃からは、MoMoは単なる決済アプリではなく、スーパーアプリへと急速に進化していきます。
支払いに加えて、少額投資ができる「MoMo Invest & Saving」や、税金の支払いに対応する「MoMo e-Government」など、利用できるサービスの幅が一気に広がりました。
2021年には、みずほ銀行やWarburg Pincusなども出資したこともあり、MoMoはベトナムでも数少ないユニコーン企業となりました。
③ M_Serviceの現在とこれから

M_Serviceが開発したMoMoは現在、約3,000万人のユーザーを抱えており、ベトナムを代表する電子ウォレットサービスといえるでしょう。
そして、M Serviceのこれからは、「決済アプリ」から「ベトナム人の生活を支える総合サービス」への進化が中心になると考えられます。
すでにMoMoは支払いだけでなく、公共料金の支払い、行政手続き、チケット購入などにも使われていますが、今後は保険や企業向けサービスなどにも広がっていくでしょう。
また、地方や高齢者など、これまでデジタル化が進みにくかった層へ普及させていくことも重要なテーマだと思います。
今後もベトナムでキャッシュレス社会が進んでいく中で、M_Serviceは多くの人の生活を支えるデジタル基盤としてより身近で欠かせない存在になっていくと考えられます。
また、M_Serviceは将来的には、シンガポールまたはアメリカでの上場を目指しているそうで、国際的な場での活躍にも期待できると思います。
まとめ

M_Serviceは携帯チャージ事業からスタートし、現在ではベトナム最大の金融スーパーアプリへと成長しました。
MoMoは支払いや送金、公共料金、投資、旅行予約、税金の支払いまでをひとつのアプリで完結でき、ベトナムのキャッシュレス社会をけん引する存在となっています。
今後、上場する可能性もあることから成長余地は非常に大きく、MoMoはこれからのベトナム経済においても中心的な役割を担っていくと思います。
