モンテネグロ語の特徴|セルビアから独立したモンテネグロの言語

世界の言語

モンテネグロ語は、主にバルカン半島のモンテネグロを中心に、約60万人に話されている言語です。

モンテネグロ語は、もともと旧ユーゴスラビア時代において、セルビア語・クロアチア語・ボスニア語とともに、セルボ・クロアチア語と呼ばれる一つの言語として扱われていました。

しかし1990年代にユーゴスラビアが解体されると、セルボ・クロアチア語は、言語としての特徴はほぼ同じであるにもかかわらず、国ごとに政治的な理由から別々の言語として扱われるようになりました。

セルビアはロシア寄りの外交姿勢を強めた一方、モンテネグロはEU志向を強め、政治的に距離を取る必要がありました。

そのため、2006年にモンテネグロは平和的に独立し、言語名も「モンテネグロ語」として分けられたのです。

この記事では、モンテネグロ語について、文字・単語・文法・発音の特徴と学ぶメリットを、初心者向けに分かりやすく解説していきます。

① モンテネグロ語の文字 ― ラテン文字とキリル文字を両方使う ―

モンテネグロ語の大きな特徴のひとつが、ラテン文字 (英語と同じアルファベット)とキリル文字 (ロシア語の文字)の両方を公式に使用していることです。

ただし、実際の日常生活やインターネット、メディア、教育といった場では、ラテン文字が圧倒的に多く使われています。

そのため、英語のアルファベットに慣れている人であれば、文字の面で大きなハードルを感じることはほとんどありません。

これはセルビア語と似た状況ですが、セルビアではキリル文字の使用比率がより高いのに対し、モンテネグロではラテン文字が主に使われています。

また、モンテネグロ語には、セルビア語やクロアチア語には存在しないような独自の文字があります。

具体的には、

ś / ź

の2文字です。

これらは、モンテネグロ語を「独立した言語」として標準化する際に導入されました。

例えば、

ś:s に近いが、より柔らかい発音

ź:z に近いが、やや摩擦のある音

といったように、発音上の微妙な違いを表します。

② モンテネグロ語の単語 ― セルビア語やクロアチア語とほぼ共通 ―

モンテネグロ語の単語は、セルビア語やクロアチア語、ボスニア語と90%以上が共通しています。

そのため、モンテネグロ語を理解できれば、旧ユーゴスラビア圏の人々とほぼ問題なく会話することが可能です。

例えば「家」という単語は、

モンテネグロ語:kuća

セルビア語:kuća

クロアチア語:kuća

と、すべて同じ形になります。

③ モンテネグロ語の文法 ― 語尾が変化し、語順は柔軟 ―

モンテネグロ語の文法は、セルビア語やクロアチア語とほぼ同じです。

モンテネグロ語では、日本語でいう「〜が」「〜を」「〜に」といった意味を、語尾の変化で表します。

例えば「友達」という単語 prijatelj は、

prijatelj

prijatelja

prijateljem

というように形が変わります。

また、語順は比較的自由で、基本は SVO(主語→動詞→目的語)ですが、文脈によって入れ替えることもあります。

動詞も主語に応じて活用し、例えば「見る」という動詞 vidjeti は、

vidim(私は見る)

vidiš(あなたは見る)

vidi(彼・彼女は見る)

のように変化します。

このため、動詞の形を見るだけで主語が分かり、会話では主語が省略されることも多いです。

④ モンテネグロ語の発音 ― 書いてある通りに読める ―

モンテネグロ語の母音は、

a / e / i / o / u

の5つのみで、日本語と同じくとてもシンプルです。

モンテネグロ語の子音の数は約25~26つとされていて、日本語にない音も含まれています。

例えば、

š:英語の sh

č:英語の ch

ć:より柔らかい ch

ś:s に近い独自音

などがあります。

しかし、英語とは異なり、つづりを見れば基本的に発音が分かるので、一度文字と音の対応を覚えてしまえば、初めて見る単語でも正確に発音しやすいです。

⑤ モンテネグロ語を学ぶメリット ― 小国だが他の国にも応用できる ―

モンテネグロ語を学ぶ最大のメリットは、モンテネグロだけでなくセルビアやクロアチアなどでも通じるということです。

これらを合わせると、約2,000万人規模の話者圏になります。

これはハンガリー語などよりも多い数字です。

また、モンテネグロ語はスラヴ語に属しているため、ロシア語やポーランド語などといった他のスラヴ系言語への橋渡しにもなります。

まとめ

モンテネグロ語は、バルカン半島のモンテネグロで話されているスラヴ系の言語です。

モンテネグロ語は、言語的にはセルビア語とほとんど違いがないのですが、ロシア寄りの外交姿勢を取るセルビアと距離を置いて、モンテネグロが独立したことを背景に、国語として位置づけられるようになりました。

そのため、一見すると話者数の少ないマイナー言語ですが、実質セルビアやクロアチアなどの旧ユーゴスラビア全体で通じる高い実用性を持っています。