マラヤーラム語は、主にインド南西部のケーララ州 を中心に話されている言語です。
話者数は約3,800万人とされており、インドの憲法で定められた22の公用語のひとつでもあります。
この記事では、マラヤーラム語の文字・単語・文法・発音の特徴と学ぶメリットについて、初心者向けに分かりやすく解説していきます。
① マラヤーラム語の文字 ― 世界でも珍しい「丸い文字」―

マラヤーラム語は、マラヤーラム文字と呼ばれる独自の文字を使っています。
この文字の最大の特徴は、インドの数ある言語の中でも特に丸みが強いことです。
例えば、
മ വ ല
など、直線がほとんどなく、円や曲線を重ねたような形をしています。
このようにマラヤーラム文字が丸みを帯びている背景には、古代インドでヤシの葉に文字を書いていた文化が深く関係しています。
ヤシの葉は直線を刻むと割れやすいため、曲線をたくさん使う丸い文字が発達したと考えられています。
私はこのマラヤーラム文字は旧ソ連圏のジョージア文字とも見た目が似ていると感じました。
② マラヤーラム語の単語 ― タミル語やサンスクリット語と似ている ―

マラヤーラム語の単語は、同じ南インドで話されている タミル語ととても近く、約60~70%の語彙が共通しているそうです。
これはマラヤーラム語がタミル語の一方言から独立してできた言語と考えられているからです。
例えば、「家」という単語を比べると、
マラヤーラム語: വീട് (vīṭu)
タミル語: வீடு (vīṭu)
となり、発音も意味もほぼ同じです。
そのため、マラヤーラム語を学ぶことは、タミル語の理解にも繋がっていきます。
ちなみに、もう一つの主要な南インドの言語のテルグ語とはそこまで似ていないそうです。
そして、マラヤーラム語はインド古代の言語であるサンスクリット語由来からの語彙が非常に多いという特徴も持っています。
特に宗教や学問、文学といった分野では、サンスクリット語由来の語彙が大量に使われています。
例えば、
学問
マラヤーラム語:വിദ്യ (vidyā)
サンスクリット語:विद्या (vidyā)
文化
マラヤーラム語:സംസ്കാരം (saṃskāram)
サンスクリット語:संस्कार (saṃskāra)
というようになります。
まとめると、マラヤーラム語は日常語彙はタミル語寄り、学術や宗教などの語彙はサンスクリット寄りという特徴を持っていると言えます。
③ マラヤーラム語の文法 ― 基本的に日本語と似ている ―

マラヤーラム語の基本語順は、SOV(主語 → 目的語 → 動詞)で、日本語とまったく同じ語順です。
そのため、日本人にとって語順は比較的理解しやすいといえるでしょう。
例えば、「私は家にいる」は、
ഞാൻ വീട്ടിൽ ഉണ്ട്(Njān vīṭṭil uṇṭ)
私 → 家に → いる
という順番になります。
また、マラヤーラム語では、英語のような to / in / at といった前置詞は使いません。
代わりに、名詞の後ろに日本語でいう 「へ」 「を」 というような助詞を付けて表します。
例えば、
–ൽ (-il):〜に/で
–ലേക്ക് (-lekku):〜へ
となります。
さらに、動詞は時制(現在・過去など)によって形が変化します。
例えば、
現在
ഞാൻ പോകുന്നു(Njān pōkunnu) 私は行く
過去
ഞാൻ പോയി(Njān pōyi) 私は行った
のように、現在か過去によって動詞の部分が変化します。
④ マラヤーラム語の発音 ― 子音が非常に多く、発音は難しめ ―

マラヤーラム語には、約15前後の母音と、40以上の子音があります。
そのため、発音の数がとても多く、日本人にとっては覚えるのが大変と言えます。
そのため、例えば同じ「タ行」に聞こえる音が4つもあったりします。
ത (ta):歯の近くで出す「タ」(息弱め)
ഥ (tha):歯の近くで出す「タ」(息強め・有気音)
ട (ṭa):舌を奥に巻いて出す「タ」(反舌音)
ഠ (ṭha):舌を奥に巻いて出す「タ」(反舌音+有気音)
このようにマラヤーラム語は発音の種類が多く、聞き分けるのが難しいといえます。
⑤ マラヤーラム語を学ぶメリット ― インドの宗教の多様性を理解できる ―

マラヤーラム語を学ぶ最大のメリットは、南インドのケーララ州の文化や社会、宗教を深く理解できることにあります。
私が特にケーララ州のとても興味深いと感じる点は、ヒンドゥー教とイスラム教、キリスト教が共存しているということです。
ケーララ州の宗教の割合を見ると次のようになります。
ヒンドゥー教:約 54%
イスラム教:約 27%
キリスト教:約 18%
その他(仏教・ジャイナ教など):1%未満
インド全体では、イスラム教が約14%、キリスト教が約2%なので、ケーララ州は非常に宗教的に多様性がある地域と言えます。
そのため、マラヤーラム語を学ぶことは、インドの宗教の多様性を理解することにも繋がると思います。
まとめ
マラヤーラム語は、ケーララ州を中心に話される南インドの主要言語で、独自の丸い文字、タミル語やサンスクリット語に似ている語彙、日本語と同じSOV語順を持っています。
その一方で、母音や子音の数がとても多いため、発音はやや難易度が高いという特徴もあります。
マイナーに見える言語ですが、南インドに興味がある方には、学習候補に入れてみるのもいいかもしれません。
