マレー人とは? 「海の民」と呼ばれる、マレーシア最大の民族

世界の人々

マレーシアの人口の大部分を占めているのが「マレー人(Malay)」です。

「マレー」という言葉はもともと「海岸に住む人」という意味を持ち、海とともに生きてきた民族だといわれています。

マレーシアは中国とインドのちょうど中間に位置し、昔から人や物が行き交う重要な地でした。

今回は、そんなマレー人の文化・社会・歴史について紹介していきます。

① マレー人の雰囲気

マレー人は温暖な気候の影響もあり、少し日焼けした健康的な肌をしており、黒い髪と瞳を持っている人が多いとされています。

主観ですが、私が写真で見た印象ではマレー人はインドネシア人よりも東アジア寄りの顔立ちの人が多いと感じました。

また、女性はイスラム教を信仰しているため、ヒジャブを着けている人が多いです。

イスラム教の女性がヒジャブを身につける理由は、イスラム教の聖典である「コーラン」に「身なりを整え、落ち着いた振る舞いを大切にするように」と記されているためだそうです。

② マレー人の文化と暮らし

マレー人が多く住む場所は首都クアラルンプールだと思われがちです。

しかし実際にはクアラルンプールの人口の半分ほどは中華系であり、マレー人の都市という雰囲気とは少し異なっています。

これは、イギリス植民地時代にスズ鉱山開発のため中国系移民が招かれたことが影響しています。

そのため、マラッカなどの地方都市の方がマレー系の暮らしが色濃く残っています。

また、食事面では、日本人がカルチャーショックを受けやすい点があります。

それはマレー人が手でご飯を食べる文化を持っているということです。

私も最初はインド人だけが手で食べるのかと思っていたのですが、マレー人も右手で食事をすることが多いそうです。

これはイスラム教の考えに基づいており、右手は「清い手」とされているかららしいです。

マレーシアを訪れる予定がある方は、一度手でご飯を食べてみるのも面白い体験になるかもしれません。

③ マレー人の言語

マレー人が話す「マレー語」は、インドネシア語ととても似ています。

例えば、マレー語の「ありがとう」は “テリマ・カシ” ですが、インドネシア語でも同じく “テリマ・カシ” と言います。

似ている理由は、古くからマレー語が「東南アジアの海の共通語」として貿易で使われていたためです。

そのためマレー語はインドネシアに広まりましたが、当時のインドネシアでは日常的に話す人はそれほど多くありませんでした。

決定的だったのは、インドネシア独立時の言語政策です。

指導者たちは、使用者が多いジャワ語やスンダ語を公用語にすると、他の民族が不公平に感じ対立が起こると考えました。

そこで中立的な言語として使われていたマレー語を「インドネシア語」として公用語化したのです。

そのため、今でも多くのインドネシア人は、インドネシア語のほかにジャワ語など複数の言語を話すといわれています。

④ マレー人のルーツと歴史

マレー人のルーツは、数千年前に台湾に住んでいた先住民が海を渡って移動したことに始まるとされています。

私は、マレー人のルーツが台湾から広がったという点を知って意外に感じました。

現在の台湾は中国語を話し、中国文化と似ていますが、もともと台湾には先住民が豊かな文化を持っており、マレー人、インドネシア人、フィリピン人の祖先となったのです。

ちなみに沖縄は台湾に近いですが、異なるルーツを持っているといわれています。

13世紀にはマレー人がマラッカ王国を築き、インドと中国を結ぶ海上貿易の拠点として発展しました。

ちょうどその頃、中東やインドのイスラム商人がマレー半島を訪れるようになりました。

マラッカ王国の王はイスラム商人と協力し国を発展させるため、イスラム教を普及させます。

このようにイスラム教は、宣教師が広めたキリスト教とは異なり、商人の国際的な貿易ネットワークを通じて広まった例が多いのです。

その後、西洋の支配を経て独立を果たし、マレー人の文化は今も強く受け継がれています。

⑤ マレー人の社会と経済

現在のマレーシアには、マレー人、華人、タミル人(インド系)などさまざまな民族が暮らしています。

全体ではマレー人が人口の約4分の3を占めていますが、首都クアラルンプールなどでは中華系が半数近くを占めています。

またマレーシアには「ブミプトラ政策」と呼ばれるマレー人優遇制度が存在しています。

これは、中華系が経済力を持ち政治的影響力を強めることへの危機感から導入された政策です。

さらにマレーシアの学校は民族ごとに分かれている場合が多いそうです。

私はマレーシアといえば多民族が仲良く協力する国という印象を持っていましたが、調べてみると「共存しつつ、分かれて暮らす社会」でもあると感じました。

ただし約7割を占めるビルマ系と少数民族間で緊張が続くミャンマーなどと比べると、東南アジアではマレーシアの民族共存は比較的上手くいっていると言えるかもしれません。

まとめ

マレー人は「海の民」として古くから東南アジアの島々を繋ぐ役割を果たしてきた民族です。

また、マレーシアは中国とインドの中間に位置し、昔から海上貿易の拠点として多くの文化が交差してきました。

そして、現代のマレーシアでは、マレー人は中華系や南インド系の人々とともに暮らし、多民族社会の中で共存しながら自分たちの伝統を守り続けています。