クルド語の特徴|国を持たない人々が守り続けてきた言語

世界の言語

クルド語は、主にトルコやイラク、イラン、シリアなどにまたがるクルディスタン地域で話されている言語です。

クルド人は独立した国家を持たない民族であるため、多くのクルド人は母語としてクルド語を話しながら、トルコ語やペルシア語といった居住地の公用語も使いこなすバイリンガルです。

この記事では、クルド語の 文字・単語・文法・発音の特徴と学ぶメリットについて、初心者向けに分かりやすく解説していきます。

① クルド語の文字 ― 方言によって文字が異なる ―

クルド語には、いくつかの方言があり、それによって使われる文字が異なります。

例えば、

クルマンジ方言 (トルコ東部やシリア北部) : ラテン文字

ソラニー方言 (イラクやイラン) : アラビア文字

ザザキ語 (トルコ東部) : ラテン文字

最も話者数が多いクルマンジ方言 では、現在はラテン文字が主に使われています。

このラテン文字は英語のアルファベットをベースにしていながら、

ç / ê / î / ş / û

といったクルド語特有の文字を加えた表記体系になっています。

一方、イラクやイランで使われる ソラニー方言ではアラビア文字をベースにした文字が使われています。

ただし、学習教材やオンラインの情報で一番よく見られるのは、話者数が最も多いクルマンジ方言 なので、ラテン文字のクルド語を勉強するのがおすすめです。

② クルド語の単語 ― ペルシア語と共通点が多い ―

クルド語はトルコ東部のイメージが強いので、トルコ語と似ている言語と思っている方も多いかもしれません。

しかし、実際にはトルコ語よりも イランのペルシア語と多くの単語を共有しています。

例えば「仕事」という単語は、

クルド語:kar

ペルシア語:کار (kar)

というように、とても似ている発音となっています。

そのため、クルド語を学ぶことでペルシア語にも慣れることができるのです。

③ クルド語の文法 ― SOVで日本語に近い ―

クルド語の基本語順は、SOV(主語 → 目的語 → 動詞)となっています。

これは日本語と同じ語順であるので、日本人にとっては慣れやすいと思います。

そのため例えば、「私はパンを食べる」という文は、

Ez nanê dixwim

私 / パンを / 食べる

というように、日本語とほぼ同じ順番になります。

また、クルド語の動詞は、語尾を見るだけで、主語が分かります。

例えば、

dixwim(私が食べる)

dixwî(あなたが食べる)

dixwin(彼らが食べる)

というように、語尾を使って主語を表すことができます。

そのため、クルド語では主語を省略して話すこともよくあるそうです。

④ クルド語の発音 ― ローマ字読みが基本 ―

クルマンジ方言のクルド語は、基本的にローマ字読みをすれば通じます。

そのため、英語のように”apple” と”make” の “a” の発音が異なるなどというようなことがなく、文字を見たまま発音をすれば通じやすいのが特徴です。

一度発音のルールを覚えてしまえば、新しい単語に出会っても読み方に迷うことが少なく、初心者でもスムーズに音読や会話を進めることができます。

また、クルド語には日本語にない音がいくつかあります。

例えば、

ê(エー)

î(イー)

û(ウー)

というような長母音で、これらは短く読まず、しっかり伸ばすのがポイントです。

⑤ クルド語を学ぶメリット ― 中東最大級の民族を深く知ることができる ―

クルド語を学ぶ最大のメリットは、中東最大級の少数民族であるクルド人の文化や価値観を理解することができる 点だと思います。

クルド人はトルコやイラク、イラン、シリアなどにまたがって暮らしており、特定の国に縛られない独自の文化や価値観を育んできました。

そのため、クルド語を通して現地の人々と話すことで、「国境を越えて続く民族意識」や「言語とアイデンティティの結びつき」などを、肌感覚で理解できるようになります。

また、クルド語を学ぶ外国人は非常に少ないため、少し話せるだけでも珍しく思ってもらえて、会話のきっかけにもなりやすいです。

中東に興味がある人にとって、クルド語は良い選択肢の1つになると思います。

まとめ

クルド語は、方言によってラテン文字とアラビア文字を使い分け、日本語と同じSOV語順を持つ、発音もシンプルな言語です。

中東の文化や民族をより深く理解したい方にとって、クルド語はとても魅力的な選択肢になると思います。