KazMunayGas(カズムナイガス) は、カザフスタン政府が完全に所有する国営の石油・天然ガス企業です。
石油やガスの探鉱や生産、輸送、精製までをまとめて手がける、カザフスタンのエネルギー産業の中心的な立ち位置にいる巨大企業です。
カザフスタンの石油生産量は世界で12位前後、 ガス生産量は24位前後であることも考えると、かなり重要な役割を担っていることがわかります。
この記事では、カズムナイガスの事業内容や歴史、そして今後の展望をわかりやすく説明します。
① カズムナイガスの事業を分かりやすく解説
カズムナイガスは、カザフスタンの国営石油・ガス会社ですが、実際に現場で動いているのは、いくつかの子会社たちです。
ここではカズムナイガスの主要な子会社を5つ分かりやすく紹介していきます。
KazMunayGas Exploration Production(石油やガスを探して掘る)

KazMunayGas Exploration Productionは、石油やガスがどこにあるかを探して、見つかったら掘っていくことを中心に行っています。
原油とコンデンセート(軽質油)を合わせた生産量は約2,380万トンに達し、前年より約1.3%増えており、生産はゆるやかに拡大しています。
天然ガスについても順調で、2024年の生産量は約95億立方メートルに達しました。
これは数千万人規模の都市を丸ごと動かせるほどのエネルギー量で、カズムナイガスがカザフスタンのエネルギーを支えるとても大きな存在であることを示しています。
KazTransOil(石油パイプライン)

石油は掘っただけではお金にならず、運ぶことも必要になります。
この運ぶ過程をやっているのがKazTransOilという会社です。
この会社は、油田から製油所、港、ロシアや中国方面への輸出ルートまで、巨大なパイプラインネットワークを使って原油を運んでいます。
この中でも、最も重要な輸出ルートの1つが カスピ海原油パイプラインです。
これはカザフスタン西部の テンギズ油田からロシア南部の ノヴォロシイスク港(黒海) までを結ぶパイプラインで、全長約1,510 kmに及びます。
このようにカズムナイガスは石油を掘るだけではなく、運ぶルートも自分で持っているというとても強いポジションにいるのです。
KazTransGas(ガスの輸送)

簡単に言うとKazTransGasは、KazTransOilのガスバージョンです。
天然ガスを発電所や工場、都市などに運んだり、ロシアや中国に向けて輸出したりします。
約20,000kmのガスパイプラインを持っていて、日本列島の端から端までの約7倍に相当するので、かなり長いことが分かります。
ガスは電気を作ったり、暖房に使ったり、工場を動かしたりと生活と産業にとても重要なので、この会社はカザフスタンのインフラそのものを支えている存在と言ってもいいでしょう。
KMG International(カズムナイガスのヨーロッパ拠点)

KMG Internationalは、カザフスタンではなくルーマニアに拠点を置いています。
この会社は、ヨーロッパで原油をガソリンや軽油に変えて売ることをしています。
つまり、製油所やガソリンスタンド、石油製品の販売ネットワークをヨーロッパ側で持っているのがKMG Internationalです。
この会社が、カズムナイガスがヨーロッパとの貿易をしやすい環境を整えています。
Kazmortransflot(タンカー輸送)

Kazmortransflotはカズムナイガスの海運会社です。
カザフスタンの西側はカスピ海に面しているので、陸路ではなくカスピ海を使って海路でアゼルバイジャンなどに原油を運び、そこから世界へ輸出することができます。
② カズムナイガスのこれまでの歩み

カズムナイガスは、2002年にカザフスタン政府がいくつかの石油会社を統合したことにより生まれました。
もともとは油田を開発する会社 (Kazakhoil)と、パイプラインを運営する会社 (Oil and Gas Transportation)が別々でしたが、それを一つに統合して、資源を国がまとめて管理できる体制にしたのです。
2003年ごろからロシア依存を下げる目的で中国向けのパイプラインを整備したり、ルーマニアの製油会社のRompetrolを買収してヨーロッパにも進出したりと、海外にも事業を広げてきました。
そして2013年には、カスピ海北部の巨大油田カシャガンにも関わり、世界的にも大型案件として話題になりました。
2022年にはアスタナ国際取引所とカザフスタン証券取引所に株式上場も行い、国営企業からグローバル企業へと進化を続けています。
③ カズムナイガスのこれからの展望

カズムナイガスは、カザフスタンを代表する国営石油会社として、これからも石油・ガスの生産や精製、輸送をしっかり伸ばしていく予定です。
具体的には、石油とガスをさらに掘って、新しい油田も探しつつ、国内の製油所の性能も上げていきます。
さらに、ヨーロッパや中国、インド向けの輸出ルートも増やして、ロシア以外にも売り先を広げていきます。
まとめ
カズムナイガスはカザフスタン政府が所有している石油・天然ガス会社で、石油やガスを掘るところから、輸送、精製、販売するところまで全部行っています。
そのため、カザフスタンの石油や天然ガスのほとんどの流れをカズムナイガスが握っており、国のエネルギーと経済を支える中心的な企業となっています。
個人的には、石油を掘るだけでなく、パイプラインや製油所、海外拠点まで全部そろっている点がとても強いと感じました。
1つの国のエネルギーを丸ごとコントロールできる企業は、資源国の中でも意外と少ないからです。
