カルムイク人とは? ヨーロッパで唯一の仏教徒民族

世界の人々

カルムイク人は、ロシア南部の「カルムイク共和国」を中心に暮らす民族で、人口は20〜25万人ほどとされています。

カルムイク共和国について私が興味深いと思ったことは、世界地図で見るとヨーロッパ側に位置しているにもかかわらず、そこに住む人々の外見が明らかにアジア系という珍しい特徴を持っている点です。

カルムイク人は日本ではあまり知られていませんが、ロシアにおいては “ヨーロッパで唯一の仏教徒民族” としてとても有名です。

今回は、そんなカルムイク人について文化・言語・社会などの視点からわかりやすく紹介していきます。

① カルムイク人の雰囲気

カルムイク人は、モンゴル人に似た雰囲気の人が多いとされています。

これは、ロシアの少数民族であるブリヤード人とも共通する部分です。

ロシアは一般的にスラヴ系の国というイメージがありますが、実際にはこのように少数民族としてたくさんのアジア系の人々が暮らしています。

② カルムイク人の文化と暮らし

カルムイク人の文化で最も特徴的なのは、ヨーロッパ唯一の仏教徒民族であるという点だと思います。

カルムイク共和国の街にはたくさんの仏教寺院が建てられており、僧侶が祈りを捧げる姿を見ることができます。

ロシア正教の教会と仏教寺院が同じ町にあるというのは、とても珍しい光景だと思います。

また、昔のカルムイク人は遊牧民であり、馬や羊などを育てながら草原を移動して生活していたとされています。

現在は定住化が進んでいますが、伝統的な料理や祭りには遊牧文化が色濃く残っています。

例えば、カルムイク共和国では肉のスープ料理「ベシュバルマク」がよく食べられていますが、これは中央アジアのカザフスタンの国民食ともいわれている料理です。

このことからも、カルムイク人が中央アジアやモンゴルの遊牧民族と多くの文化を共有していることがわかります。

③ カルムイク人の言語

カルムイク人が話すカルムイク語はモンゴル語に近い言語で、文法や単語の多くをモンゴル語と共有しています。

ここで、「私は水を飲みます。」の例文を比べてみます。

カルムイク語 Bi us uucha.

モンゴル語 Bi us uudna.

カルムイク語とモンゴル語はかなり似ていることがわかると思います。

ただし、日常生活ではロシア語が圧倒的に支配的で、若者の多くはカルムイク語よりもロシア語を使う傾向があります。

④ カルムイク人のルーツと歴史

カルムイク人のルーツは、もともとモンゴルの西側に住んでいたオイラト系の遊牧民にさかのぼるとされています。

17世紀にその一部が大移動を行い、現在のカルムイク共和国に定住するようになりました。

この移住はユーラシア史の中でもとても大きな出来事で、「アジアの遊牧民がヨーロッパに定住した」という珍しい例になっています。

これは、中世にマジャル人が中央アジアから今のハンガリー付近に移動した例にも似ていると思います。

その後、カルムイク人はロシア帝国の支配下に入り、ロシアとの関係が密接になっていきました。

20世紀にはソ連の支配を受けてカルムイク文化や仏教は抑圧されましたが、ソ連崩壊後は仏教寺院の再建が進み、文化の復興が続いています。

⑤ カルムイク人の社会

カルムイク人は、ロシアの国籍を持ちながらモンゴル系のルーツを持ち、仏教を信仰している人々です。

カルムイク人を知ることは、西洋と東洋が交わる歴史を理解することにもつながると思います。