イラクは人口約4,400万人を抱える中東の国で、紀元前4,000年くらいからメソポタミア文明の中心地として栄えていた、なんと6,000年以上の歴史のある国です。
現代のニュースでは、イラクは戦争などのイメージが強く、危険な国という印象を持つ方も多いと思います。
しかし、文化面ではイラクはとても深い伝統を持っていて、その魅力は各都市の観光地にも色濃く表れているといわれています。
今回の記事では、イラクを代表する4つの都市 — 首都バグダッド、シーア派の聖地ナジャフ、アラビアンナイトの舞台にもなったバスラ、古代メソポタミア文明の中心地モスル — について紹介していこうと思います。
➀ バグダッド — イラクの首都で、かつて科学で最先端を走っていた都市

バグダッドはイラク最大の都市で、人口は約800万人ほどとされています。
イスラム教の宗派では、スンニ派とシーア派が混在している都市です。
ちなみに、スンニ派とシーア派の大きな違いは、「イスラム教の指導者の後継者の選び方」だとされています。
スンニ派は有能な人が選ばれるべきと考えるのに対して、シーア派はムハンマドと血が繋がっている人が選ばれるべきという考え方を持っています。
また、8〜13世紀ごろのバグダッドは、イスラム帝国アッバース朝の首都として栄えていて、特に数学や科学の分野では世界で最先端を走っていたといわれています。

特に「知恵の館(House of Wisdom)」という機関がとても有名で、数学や科学、天文学などの研究が盛んに行われていました。
その中でも有名なのが、アル・フワーリズミーが出版した「代数学」と呼ばれる本です。
この本では、「アルゴリズム」という言葉が世界で初めて使われたといわれています。
今ではたくさんの国で使われている「アルゴリズム」という言葉は、実はアラビア語が語源なのです。
現在でも「ムタナッビ通り(Al-Mutanabbi Street)」では、書店やカフェがたくさん並んでいて、アッバース朝時代の知識人文化を感じることができます。
また、バグダッドのシンボルともいえるのが、チグリス川沿いに建つ「バグダッド・タワー(Baghdad Tower)」です。

バグダッドの景色を一望できる展望スポットとして、観光客に人気があります。
私はバグダッド・タワーの見た目が、少し京都タワーに似ていると感じました。
② ナジャフ — イスラム教のシーア派の中心地

ナジャフは人口約120万人の都市で、シーア派イスラムにとってイランのマシュハドと並んで、もっとも重要な宗教都市のひとつとされています。
スンニ派でいうと、メッカやメディナのような都市といえるでしょう。
ナジャフで特に有名なのが、シーア派初代イマーム(宗教的指導者)であるアリーが祀られている「アリー廟(Imam Ali Shrine)」です。
きらきらと輝く金色のドームと、細かくデザインされた模様がとても美しく、世界中から訪れる人が絶えない場所になっています。
③ バスラ — アラビアンナイトの舞台にもなった港町

バスラは人口約260万人で、イラク南部に位置しています。
ナジャフと同じく、シーア派が中心の都市です。
ペルシア湾に面していて、イラク最大の港町としても有名で、石油資源の輸出の玄関口として、とても重要な役割を担っています。
また、バスラは「アラビアンナイト」の舞台になったとも言われています。

現在でもバスラには「シンドバッド・スクエア(Sindbad Square)」と呼ばれる場所があり、アラビアンナイトに登場する船乗りを象徴する像があります。
また、バスラは、コーヒー文化が世界に広まるきっかけとなった場所だという説もあります。
コーヒー豆そのものの起源はイエメンとされることが多いですが、コーヒーという飲み物の文化が中東からヨーロッパへ広がっていく過程で、中心的な役割を果たしていたのがバスラだったとも言われています。
④ モスル — 古代メソポタミア文明の中心地

モスルはイラク北部の都市で、人口は約170万人ほどの、スンニ派が多数を占める都市です。
この都市は、世界四大文明のひとつにも数えられる古代メソポタミア文明の中心としても栄えていました。
特にモスルにある「ニネヴェ遺跡(Nineveh Ruins)」は、古代メソポタミア時代の建築が残る場所として、とても有名です。
世界史の教科書にも出てくるような重要な場所で、紀元前7世紀頃には、当時世界最大の都市だったといわれています。
まとめ

イラクには、首都のバグダッド、シーア派の聖地ナジャフ、アラビアンナイトの舞台にもなったバスラ、古代メソポタミア文明の中心地モスルなど、歴史や文化の深さを感じさせる都市が数多く存在しています。
イラクは、現代では戦争のイメージが先行して語られることが多い国ですが、古代から豊かな文化と伝統を持つ国でもあります。
