Indian Oil Corporation(インディアン・オイル)は、1959年に設立されたインド最大級の国営エネルギー企業です。
石油の精製から燃料の販売、ガス供給、石油化学まで幅広く手がけており、インドのエネルギーを足元から支えている企業です。
現在の売上高は年間およそ9兆ルピー規模、従業員数は2万人以上にのぼります。
インド国内では Bharat Petroleum(BPCL) や Hindustan Petroleum(HPCL) と並ぶ国営石油会社のひとつですが、その中でもIndian Oilは最大の規模を誇っています。
この記事では、インディアン・オイルの事業内容・成長の背景・今後の展望を、分かりやすく解説していきます。
① インディアン・オイルの事業を分かりやすく解説

まずは、インディアン・オイルの事業について一つずつ見ていきます。
燃料販売(ガソリン・軽油・LPガス)
インディアン・オイルの中心となるのは、ガソリンや軽油、LPガス (家庭で使う、ボンベに入ったガス)といった燃料の製造・販売事業です。
インド全土に約5万か所以上のガソリンスタンドを展開しており、これは国内で最も多い数とされています。
特に家庭向けLPガスブランドの「Indane」の利用世帯数は1億世帯を超えるとされており、インドの多くの家庭が日常の調理用ガスとしてインディアン・オイルのサービスを利用していることになります。
また、航空分野では「ATF(航空タービン燃料)」を供給しており、インド国内の主要空港で使われる航空燃料の多くを、インディアン・オイルが担っています。
石油精製 (石油をガソリンや燃料に変える仕事)
インディアン・オイルは、燃料を販売するだけでなく、石油をガソリンや軽油に変えるところまで自社で行っています。
インド国内にはPanipatやParadip、Mathuraといった10か所以上の大型製油所を保有しており、年間の原油処理能力は7,000万トンを超え、国内でもトップクラスの規模です。
さらに、インディアン・オイルは1万5,000km以上に及ぶ石油パイプライン網も運営しています。
この仕組みによって、原油や燃料を効率よく、しかも安定して輸送することができ、燃料価格を安定させたり、供給リスクを減らしたりすることにもつながっています。
石油化学・デジタル・新エネルギー分野
最近のインディアン・オイルは、石油化学分野にも積極的に力を入れています。
プラスチック原料などの化学製品を製造し、自動車や建設業など、さまざまな産業を支えています。
それだけでなく、将来を見据えて、バイオ燃料やグリーン水素、EV充電インフラといった新エネルギー分野にも進出しています。
実際に、インド全国のガソリンスタンドにEV充電設備を併設する計画が進んでおり、給油所を単なる「燃料を入れる場所」から「総合エネルギーステーション」へと進化させようとする動きも見られます。
② インディアン・オイルの創業から現在まで

インディアン・オイルは1959年、インド政府の主導によって設立されました。
当時のインドは、石油やガソリンなどのエネルギーの多くを輸入に頼っており、中東をはじめとする外国資本の会社への依存がとても大きい状態でした。
そこでインド政府は、自国でエネルギーを安定して確保するためにインディアン・オイルを育てていきます。
1960〜80年代にかけてインディアン・オイルは製油所や販売網を全国に広げ、1990年代の経済自由化以降も、国営最大手としてのポジションを維持してきました。
そして現在では、インディアン・オイルは石油だけでなくバイオ燃料、EV充電インフラ、太陽光・再生可能エネルギーなどにも注力しています。
③ インディアン・オイルのこれからの展望

これからのインディアン・オイルは、石油を中心にしながらも、脱炭素やエネルギーの多様化を進めていくことが大きなテーマとなります。
実際、インディアン・オイルは2030年までに、太陽光発電や風力などの再生可能エネルギー容量を約31GWまで拡大する目標を持っています。
また、同じ時期にグリーン水素プラント (再生可能エネルギーを使って、環境にやさしい水素をつくる工場)の建設も進めていて、年間35万トン規模のグリーン水素を生産できる体制を目指しています。
さらに、2046年までに低炭素技術への投資やグリーン水素の活用を進めることで、自社の事業活動から出るCO₂排出を実質ゼロにするという目標も、インディアン・オイルは公式に打ち出しています。
まとめ
インディアン・オイルは、燃料の販売や石油精製 (石油をガソリンや燃料に変えること)、物流インフラまでを一体で担う、インド最大級の国営エネルギー企業です。
今後は再生可能エネルギーやEV分野にも対応しながら、インド経済を支える土台として、さらに存在感を高めていくと考えられます。
個人的にインディアン・オイルで印象的なのは、「国営企業でありながら、脱炭素や再生可能エネルギー分野への移行の動きがかなり速い」ということです。
石油会社というと保守的なイメージを持たれがちですが、インディアン・オイルは革新的な一面も持っていると思いました。
