ハンガリー語の特徴|アジアにルーツを持つヨーロッパの言語

世界の言語

ハンガリー語は、中央ヨーロッパのハンガリーを中心に、約1,300万人に話されている言語です。

ハンガリーの人口は約950万人ですが、ハンガリー国外にも多くのハンガリー人が暮らしているため、話者数はそれより多くなっています。

そして、ハンガリー語の大きな特徴は、周りのヨーロッパの国々で話されている言語とまったく系統が違うことです。

ヨーロッパの多くの言語は、同じルーツを持つ「インド・ヨーロッパ語族」に属していますが、ハンガリー語はそこに含まれません。

その代わり、ハンガリー語はフィンランド語やエストニア語と同じ 「ウラル語族」 という少し珍しいグループの言語に属しています。

この記事では、ハンガリー語について、文字・単語・文法・発音の特徴と、学ぶメリットを分かりやすく解説していきます。

① ハンガリー語の文字 ― 英語と同じアルファベットを使う ―

ただし、実際に使われている文字を見ると、英語よりも記号が付いた文字が多いのが特徴です。

例えば、ハンガリー語には次のような文字があります。

á / é / í / ó / ú

ö / ü / ő / ű

これらは、母音の長さや発音する時の口の形の違いを表しています。

具体的には、

ö:短い「オ」と「エ」の中間の音

ő:それを長く伸ばした音

というようになります。

このようにハンガリー語には、英語にはないアルファベットもいくつかありますが、たくさん勉強すれば自然と覚えられると思います。

② ハンガリー語の単語 ― ヨーロッパの中ではかなり異質 ―

ハンガリー語の単語は、周りのヨーロッパの言語とは大きく異なっています。

例えば「水」という単語は、

ハンガリー語:víz

ドイツ語:Wasser

チェコ語:voda

となり、ほとんど似ていません。

このため、ハンガリー語はヨーロッパの言語を勉強したことがある人ほど、「見覚えのある単語がほとんどない」と感じやすい言語です。

逆にハンガリー語と少し似ているといわれるのは、フィンランド語やエストニア語です。

例えば「手」という単語は、

ハンガリー語:kéz

フィンランド語:käsi

となり少し似ています。

③ ハンガリー語の文法 ― 語順はわりと自由で、語尾が重要 ―

ハンガリー語の語順は、基本的にはSVO (主語 → 動詞 → 目的語) の並びになります。

そのため例えば「私はりんごを食べる」は、

Én eszem egy almát.

(私/食べる/一つのりんご)

となります。

ただし、ハンガリー語では、語順よりも「語尾」がとても重要です。

日本語でいう「〜で」「〜から」「〜へ」といった意味を、ハンガリー語では単語の後ろにくっつけて表します。

例えば「家」という単語は、

ház:家

házban:家の中で

házhoz:家へ

というように変化します。

④ ハンガリー語の発音 ― 母音が多く、長さが意味を変える ―

ハンガリー語には、母音が14種類ありとても多いです。

これは、短い音と長い音をはっきり区別しているためです。

そのため、同じ母音でも、短く発音するか、長く伸ばすかによって意味が変わることがあります。

例えば、

kor:年齢

kór:病気

のように、母音の長さが変わるだけで意味が変わることもあります。

また、ハンガリー語では、2つの子音の文字をセットにして1つの音を表す書き方もよく使われます。

例えば、

cs / gy / ny / sz / zs など

があり、

cs:英語のチに近い音

sz:英語のスに近い音

という発音になります。

その一方で、アクセント(強く読む部分)はとてもシンプルで、必ず最初の音に来るというルールがあります。

ですので、ハンガリー語は母音や子音の発音を覚えるのは難しいですが、アクセントはシンプルで比較的簡単です。

⑤ ハンガリー語を学ぶメリット ― 独自性の高い言語と文化を知ることができる―

ハンガリー語を学ぶ一番の魅力は、ヨーロッパの中でも独自性の強い言語を知ることができるという点です。

実は、ハンガリー人の祖先は、もともと現在のヨーロッパではなく、アジア寄りの地域にルーツを持つ人々だったと考えられています。

言語学的には、ハンガリー語はウラル山脈周辺から広がったとされる言語グループと関係があり、その後、長い時間をかけて西へ移動し、現在のハンガリーに定住しました。

そのため、ハンガリー語を学ぶことは、「ヨーロッパの国でありながら、どこかアジアとのつながりを感じられる」という感覚を味わうことでもあるのです。

まとめ

ハンガリー語は、ヨーロッパの周りのどの言語ともあまり似ていない、とても個性的な言語です。

英語と同じアルファベットを使いながらも、単語・文法・発音のすべてに独自のルールがあります。

「せっかくなら、人と違うヨーロッパの言語を学びたい」という方にとって、ハンガリー語はとても面白い選択肢になると思います。