韓国は、現在では「ハングル(한글)」という文字が使われていることで知られています。
皆さんも韓国料理屋さんや案内表示などで、ハングルを目にしたことがあると思います。
しかし、実は韓国では長い間、ハングルではなく漢字が使われていました。
この記事では、韓国における漢字やハングルの歴史について詳しくない方でも分かりやすいように解説していきます。
①韓国で漢字が使われるようになったのはいつから?

朝鮮半島に漢字が伝わったのは、約2,400年前からとされています。
中国との交流を通じて、政治や法律、学問などの分野で漢字が使われるようになり、やがて公的な文章はすべて漢字のみで書かれるのが当たり前になりました。
ちなみに、漢字が伝わる前の朝鮮半島では、文字は使われておらず、情報は話し言葉のみで伝えられていました。
現在では韓国では漢字を使っていた歴史は中国の影響としてネガティブなイメージが持たれることもあるそうですが、歴史的には話し言葉から書き言葉に文明的に進化した出来事と見ることもできるかもしれません。
また、高麗王朝(918〜1392年)、その後の李氏朝鮮(1392〜1897年)においても、支配層や知識人は漢字を読み書きできることが普通だったそうです。
そして、官僚を採用する試験である科挙も漢文で行われ、漢字は国家運営そのものを支える文字だったといえます。
② ハングルはいつ作られたのか? – 世宗国王が1人で作った文字 –

ハングルができたのは、1443年に朝鮮王朝の国王の世宗(セジョン)が庶民向けに分かりやすい文字を作ろうとしたのがきっかけです。
正式に発表されたのは1446年で、最初のうちは「訓民正音(フンミンジョンウム)」と呼ばれていました。
しかし、ここで重要なのは、ハングルが作られても、すぐに漢字が廃止されたわけではないという点です。
実際、ハングルは「庶民向けの補助的な文字」として扱われ、支配層の両班(ヤンバン)たちは漢字を使い続けていたそうです。
結果としてハングル誕生後も数百年間は、学問や記録は漢文、庶民の手紙や文学はハングルという併用状態が続きました。
また、1910年から1945年までの日本統治時代においても、日本語教育が行われる一方で、韓国語の表記は「ハングル+漢字混じり文」が一般的でした。
新聞、法律、教科書などでも漢字は普通に使われており、この時点でも漢字は完全に現役でした。
③ 戦後、徐々に漢字が使われなくなっていった。

漢字からハングルへ本格的に移行したのは、1948年の建国がきっかけでした。
新しく独立国家をつくるにあたって、朝鮮半島では「民族独自の言葉」、「誰もが読み書きできる言葉」を国の基盤にする必要があったのです。
そのため、北朝鮮や韓国の指導者たちは、覚えやすく朝鮮半島の文字であるハングルを普及させていくことにしました。
まず北朝鮮の場合は、建国した翌年の1949年に漢字の使用を原則として廃止し、ハングルだけを使う政策を徹底しました。

そのため、現在の北朝鮮では漢字教育もほぼ行われていません。
しかし韓国の場合は、漢字は建国してすぐには廃止されませんでした。
1950〜60年代までは、新聞や教科書などでは漢字混じり文が広く使われていました。
実際、1970年代頃までは、新聞の見出しや専門用語に多くの漢字が使われており、大学入試でも漢字の知識が求められていたそうです。
④ 決定的なのは、1980年代の光州民主化運動の時期

そして、韓国で漢字が日常的な文章からほぼ姿を消したのは、1980〜1990年代だったそうです。
それには、1980年に光州民主化運動が起こり、韓国の人々が「誰でも読める言葉」や教育の大衆化を重視するようになったという背景があります。
実際、ハングルは音と文字の対応が非常に分かりやすく、韓国の人々にとって覚えやすく扱いやすい文字でした。
私も韓国語を1年ほど勉強したことがありますが、ハングルは慣れるととても読みやすいと感じます。

その結果、現在の韓国では、日常文章はほぼ100%ハングルとなっています。
現在の韓国では漢字が使われる場面はとても限られており、ニュースサイトや新聞などで、日本(일본)のことを「日」と一文字で略し、記号のように表記する場合などが代表的です。
また、韓国学校では選択科目として漢字教育が行われており、一部の人は漢字を学んだことがあるそうです。
ただし、日本や中国と比べると、漢字の使用頻度は圧倒的に低いです。
まとめ
韓国は、古代から近代まで約1,500年以上にわたって漢字だけを使用していて、ハングル誕生後も数百年間は漢字と併用していました。
実質的に韓国で漢字が使われなくなったのは1980〜90年代なのです。
私はこの記事を書く前まで漢字が韓国で昔使われていたことは知っていましたが、廃止されたのは1948年の建国の時だと思っていたので、少し意外に思いました。
