FPTグループは、ベトナム最大級のIT企業で、ハノイに本社を構えています。
ソフトウェア開発、クラウド、AI、5G、フィンテックなどの幅広い分野に事業を展開しており、NTTやトヨタなど日本企業との取引が多いことでも知られています。
今回は、そんなベトナムNo.1規模のIT企業「FPTグループ」について、歴史から事業内容まで詳しく見ていきます。
① FPTグループのサービスを分かりやすく解説

FPTグループは、ソフトウェア開発を中心に、AIやクラウド、通信、教育など幅広い分野で事業を展開しています。
ここでは、FPTがどのようなサービスを提供しているのかを、主要な事業ごとに分かりやすく見ていきます。
FPT Software(ソフトウェア開発やシステム構築)

FPTのメイン事業とも呼べる分野で、世界27カ国以上に開発拠点を持っています。
日本やアメリカ、EUなどの海外企業から多くの依頼を受けており、金融向けのシステム開発からDX支援、Webサイトやアプリの制作まで、幅広い分野に対応しています。
FPT AI(AI事業)

FPTグループが近年力を入れている事業で、AIチャットボット、音声認識、画像分析、データ管理などのサービスを提供しています。
今後、もっとも成長が期待される領域の一つといえるでしょう。
FPT Smart Cloud(クラウドサービス)

FPT Smart Cloudは「ベトナム版AWS」とも呼ばれるクラウドサービスで、政府や銀行、医療機関にも導入されています。
ベトナム国内のデータセンター運用に強みがあり、情報を国外に出せない分野で特に需要が高いとされています。
また、クラウド分野にはベトナム国内にいくつかの競合が存在し、メッセンジャーアプリZaloを提供するVNGグループの「VNG Cloud」もその一つです。
FPT Telecom(通信サービス)

光回線インターネット、ネットテレビ、クラウドなどのサービスを運営しています。
ベトナムの大手通信会社の一つで、家庭用Wi-Fiや企業向けネットワークの普及に大きく貢献してきました。
最近では、5GやIoT分野へのサービス拡張も進んでいるとされています。
FPT Education(教育サービス)

ベトナム国内で大学や専門学校、ITアカデミーを運営しており、毎年多くのエンジニアを輩出しています。
こうした教育基盤が、FPTがベトナム国内で高い技術力を維持し続けられる理由の一つだといえるでしょう。
② FPTグループの創業から現在まで

FPTグループは、現在ではベトナムを代表するIT企業として知られていますが、その始まりは意外なビジネスでした。
この章では、FPTがどのようにして誕生し、成長してきたのかを時代の流れとともに振り返っていきます。
ソ連へのパソコン輸出ビジネスから始まる

FPT Corporationは、1988年9月13日にチュオン・ザー・ビン(Trương Gia Bình)氏らによって創業されました。
当初は「Food Processing Technology」という食品系の企業でしたが、早い段階でITの可能性を見抜き、1990年頃には事業の中心をITやソフトウェアへと切り替えました。
当時、アメリカなどではパソコン革命が進んでいましたが、ソ連では西側諸国からのパソコン輸入が制限されていました。
FPTはここにビジネスチャンスを見出し、アメリカなどからパソコンを輸入してソ連へ販売し、約100万ドル規模の契約を獲得しました。
これは、ソ連寄りでありながらアメリカなどとも貿易が可能だった、ベトナムならではの立場を活かしたビジネスだといえます。
この成功が、FPTが事業を拡大していくための資金と信頼の基盤となりました。
その後もFPTはソ連政府との取引を拡大し、最終的にはベトナムが抱えていた対ソ連債務の返済プロジェクトに関わるまでになりました。
ソフトウェア開発やシステム構築事業に拡大

ソ連崩壊後、FPTはパソコン転売ビジネスで得た資金をもとに、インターネット事業やITインフラ整備へと取り組んでいきます。
1997年には、FPTグループ傘下で「FPT Telecom」が設立され、ベトナム国内では民間として最初期のISP(インターネットサービスプロバイダー)の一つとなりました。
1999年には「FPT Software」が設立され、海外企業向けにソフトウェア開発やシステム構築を代行するITアウトソーシング事業を開始します。
2005年には日本法人を設立し、日本企業からの依頼も急増しました。
さらに2006年には「FPT University」を設立し、自社でIT人材を育成する体制を整えました。
この大学で育った学生の多くは、卒業後にFPTグループで働き、海外案件にも対応できるエンジニアへと成長していったとされています。
近年はクラウドなどを提供するDX企業へ

2015年頃から、世界的にAI・IoT・クラウドなどの技術が急速に普及し、第4次産業革命が本格化しました。
FPTはこの流れを早い段階で捉え、DX(デジタルトランスフォーメーション)を事業の中心へとシフトしていきます。具体的には、大企業のパートナーとしてAIやクラウド導入を支援し、AirbusやSiemensなど約500社のグローバル顧客を獲得しました。
2018年には米Intellinet社を買収し、コンサルティングから開発、運用までを一貫して提供できるDX企業へと進化しました。
現在では、AIデータセンターや自動運転ソフトウェア、クラウド基盤への投資も進めているそうです。
まとめると、FPTはソ連へのパソコン輸出から始まり、その資金と経験を活かしてソフトウェア輸出企業へと成長し、近年では世界的なDXプロバイダーとして活躍している企業だといえるでしょう。
③ FPTグループの現在とこれから

現在、FPTグループはベトナム最大級のIT企業の1つに数えられており、東南アジアのIT企業の中でもトップクラスの存在感を持っています。
さらに近年では、AIシステム導入を行う「FPT AI」や、自動運転ソフトウェアを手がける「FPT Automotive」など、将来性の高い分野にも注力しています。
そのため、今後AIや自動運転がさらに発展して普及していくことになれば、FPTグループもそれに合わせて発展することに期待できると思います。
まとめ

FPT Corporationは、ソ連へのパソコン輸出事業から始まったベトナムを代表するIT企業で、現在ではソフトウェア開発、クラウド、通信など幅広い事業を展開しています。
海外とのビジネスに力を入れている点が特徴で、日本法人も持ち、日本との結び付きが強い企業でもあります。
