エストニア語の特徴|インド・ヨーロッパ語族ではない不思議な言語

世界の言語

エストニア語は、北ヨーロッパのバルト三国のひとつであるエストニアを中心に、約110万人ほどに話されています。

同じバルト三国のリトアニア語が約300万人、ラトビア語が約140万人に話されていることを考えると、比較的小規模な言語といえます。

しかし、エストニア語はヨーロッパの言語でありながら、インド・ヨーロッパ語族と呼ばれるグループに属しておらず、とてもユニークな言語として知られています。

具体的には、ハンガリー語やフィンランド語と同じウラル語族というグループに属していて、ロシアのウラル山脈周辺にルーツを持つとされています。

この記事では、エストニア語の文字・単語・文法・発音の特徴と、学ぶメリットをできるだけ分かりやすく解説していきます。

① エストニア語の文字 ― 英語とほぼ同じラテン文字を使う ―

エストニア語は、英語と同じアルファベットを使って書かれます。

文字数は全部で27文字で、英語より1文字多いです。

そのため、次のような英語にはない文字もあります。

ä / ö / ü / õ / š / ž

これらは具体的には例えば以下のような発音になります。

ö :「オ」 と 「エ」 の中間

õ:口はあまり動かさず、喉の奥で 「ウー」 と 「オー」 の間を出す

私は特に “õ” はとても独特な発音だと思いました。

② エストニア語の単語 ― フィンランド語にとてもよく似ている ―

エストニア語の単語は、同じウラル語族のフィンランド語とよく似ていて、約3分の1ほどの語彙が共通しているそうです。

その一方で、ヨーロッパのもう一つのウラル語族であるハンガリー語とはあまり似ていないそうです。

実際、「魚」という言葉は、

エストニア語:kala

フィンランド語:kala

ハンガリー語:hal

となり、エストニア語とフィンランド語は同じ形ですが、ハンガリー語とは大きく異なります。

日本人にとっては、英語とあまり似ていないので、最初は単語を覚えるのには苦労するかもしれません。

③ エストニア語の文法 ― 語尾の変化が14種類もある ―

エストニア語の語順は、基本的には英語と同じSVO(主語 → 動詞 → 目的語) が多いですが、SOVになることもあります。

例えば、

Ma loen raamatut.(私は本を読む)

Raamatut loen ma.(本を、私は読む)

という両方が成り立ちます。

また、エストニア語には名詞の語尾の変化が14種類もあります。

これは、ロシア語 (6種類) などと比べても多く、私が知っている言語の中では一番多い方だと思います。

例えば「人」を表す inimene は、

~は:inimene

~の:inimese

~で:inimeses

~へ:inimesse

というようになります。

この点はエストニア語学習者が最も難しいと感じるところだと思います。

④ エストニア語の発音 ― 長さが3段階ある ―

エストニア語には、9つの母音、23~24つの子音があります。

これは英語 (母音が14~15つ、子音が約24つ) と比べると、母音が少なめといえます。

また、エストニア語では音の長さが3段階あり、それによって意味が変わります。

分かりやすくいうと、短い・長い・超長い の3段音の長さが区別されるのです。

具体的には、

sada(短): 100

saada(長): 送る/得る

saada(超長): 〜できる

というようになります。

そして、アクセントは比較的規則的で、多くの場合は最初の音節に置かれます。

そのため、同じバルト三国の言語であるリトアニア語などよりは不規則さがなくアクセントが分かりやすいと思います。

⑤ エストニア語を学ぶメリット ― IT先進国エストニアを言語から理解できる ―

エストニア語を学ぶ大きな魅力のひとつは、世界有数のIT先進国であるエストニアの考え方や価値観を、言語を通して理解できることです。

エストニアは、e-Governmentとよばれる電子政府、デジタルID、オンライン行政などが高度に整備された国として知られており、社会の仕組みそのものがデジタル化されています。

国民は全員デジタルIDを持っており、それひとつで行政手続きや銀行口座の管理、税金申告、電子署名などを完結することができます。

そのため、ヨーロッパにおけるITやスタートアップ、デジタル社会に関心があり、テクノロジーと文化の結びつきを深く理解したい人にとって、エストニア語はとても魅力的な言語だと言えると思います。

まとめ

エストニア語は、英語と同じラテン文字を使っていますが、その中身は英語などのインド・ヨーロッパ語族とはまったく異なる個性的な言語です。

実用性や話者人口だけを考えるのであれば、フランス語やスペイン語の方が学習効率は高いかもしれません。

しかし、珍しい言語に触れてみたい方や、ITやデジタル社会に関心がある方にとっては、エストニア語はとても魅力的な選択肢だと言えるでしょう。