ブルガリア語の特徴|ロシア語の文字の起源となった南スラヴ語

世界の言語

ブルガリア語は、主にバルカン半島のブルガリアを中心に、約700万人に話されている言語です。

ブルガリア語は、セルビア語やクロアチア語などと同じく南スラヴ語派に属する言語です。

ブルガリア語はとても歴史のある言語として知られていて、現在ロシアで使われているキリル文字は実はブルガリアが発祥です。

このような歴史的背景もあり、ブルガリア語は古くから書き言葉として親しまれ、他のスラヴ語とは異なる特徴を持つようになりました。

この記事では、ブルガリア語について、文字・単語・文法・発音の特徴と学ぶメリットを、初心者向けに分かりやすく解説していきます。

① ブルガリア語の文字 ― ロシア語の文字を用いる ―

ブルガリア語は、ロシア語などと同じくキリル文字を使っています。

旧ユーゴスラビア諸国の中では、クロアチアやスロベニアがラテン文字 (英語の文字)を使うのに対し、ブルガリア語は一貫してキリル文字 (ロシア語の文字)を使い続けてきました。

これには先ほどのべた通り、現在ロシアで使われているキリル文字が9世紀頃にブルガリアで生まれたというのも関係しています。

また、ブルガリア語の文字には、他のキリル文字言語には見られない、ブルガリア語独自の文字もあります。

代表的なものとして、

ъ ж ч

などがあります。

ъ:日本語にはない曖昧母音(喉を締めた「ウ」に近い音)

ж:英語の measure の zh に近い音

ч:英語の ch に近い音

という意味があります。

ロシア語を知っている人でも最初は少し戸惑うかもしれませんが、文字数自体は多くないため、慣れれば比較的スムーズに読めるようになると思います。

② ブルガリア語の単語 ― マケドニア語と非常に高い共通性 ―

ブルガリア語は、特にマケドニア語と多くの単語が共通していて、70〜80%程度の語彙が似ているそうです。

例えば「時間」という単語では、

ブルガリア語:vreme

マケドニア語:vreme

となり、ブルガリア語とマケドニア語では完全に同じ形になります。

その一方で、ブルガリア語はセルビア語やクロアチア語などとはそこまで似ていないです。

③ ブルガリア語の文法 ― 英語と同じ語順で、語尾の変化はない ―

ブルガリア語の語順は、基本的にSVO(主語+動詞+目的語)で、英語とよく似ています。

例えば「私は本を読む」は、

Az cheta kniga.

(私は/読む/本を)

となります。

また、ブルガリア語の大きな特徴として、バルカン半島の言語では珍しく名詞の語尾の変化がほとんどないというのがあります。

これはスラヴ語の中ではとても珍しく、意味の関係は主に前置詞によって表されます。

例えば「家族(semeystvo)」の場合、

ot semeystvo(家族から)

s semeystvo(家族と)

のように、名詞そのものの形はほとんど変化しません。

④ ブルガリア語の発音 ― 母音は少なく、子音が多い ―

ブルガリア語の母音は、

a / e / i / o / u / ъ

の6つが基本です。

このうち ъ は日本語に存在しないため、日本人学習者にとっては少し難しいポイントになります。

ъは、「口をほぼ動かさずに出す、喉寄りのウ」 という発音です。

一方で、ブルガリア語の子音は約31つと非常に多く、スラヴ語らしい響きを持っています。

例えば、

ž(ж):濁った「シ」に近い音

št(щ):シャ行とタ行が混ざったような音

などがあります。

日本人にとって、これらの発音は難しく感じられると思いますが、たくさん練習して慣れるとスムーズに使えるようになると思います。

⑤ ブルガリア語を学ぶメリット ― スラヴ語の歴史背景を知ることができる ―

ブルガリア語を学ぶメリットは、その奥深い歴史や文化を理解できる点にあります。

ブルガリアは、キリル文字が形づくられた文化圏であり、スラヴ語の書き言葉が広がる過程で重要な役割を担ってきました。

ここで発展した文字は、のちにロシアへ伝わり、現在のロシア語の文字体系にも影響を与えています。

そのため、ブルガリア語を学ぶ過程そのものが、こうしたスラヴ語圏の背景を自然に知ることにつながるのも大きな魅力です。

まとめ

ブルガリア語は、バルカン半島のブルガリアで話されている南スラヴ系の言語です。

マケドニア語にとても近い関係にありながら、現在ロシアで使われているキリル文字の基礎が生まれた地域でもあります。

ブルガリア語を学ぶ外国人は少ないため、現地で使うと強い印象を残しやすく、ブルガリアへの旅行や滞在に興味がある人にとって、非常に魅力的な言語だと言えるでしょう。