アラビア語は、中東や北アフリカなどで使われている言語です。
アラビア語を公用語としている国は20か国以上あり、西はモロッコ、東はUAEと非常に広い地域で使われています。
話者数は母語話者だけで約3億人以上おり、インドネシア語やロシア語よりも使われています。
ただ、アラビア語は方言が強い言語で、学校やニュースで使われる標準アラビア語(フスハー)と日常会話で使われる方言は大きく異なっています。
また、方言同士でも大きな違いがあり、エジプトの方言とシリアの方言はお互い通じ合わないほどだそうです。
例えば、「どうして?」は、
標準語 (フスハー):لماذا (limādhā)
エジプト方言:ليه (lēh)
レバント方言 (レバノンやシリアなど):ليش (lēsh)
のように変わります。
つまり、一般に「アラビア語」は一つの言語だと思われがちですが、実際には標準語とさまざまな方言に分かれているのです。
この記事では、アラビア語の文字・単語・文法・発音の特徴と、アラビア語を学ぶメリットについて、分かりやすく解説していきます。
① アラビア語の文字 ― アラビア文字を使っている ―

アラビア語は、アラビア文字を使って表記されます。
例えば、
ا ب ت ك م ن
といった文字が使われます。
アラビア文字の大きな特徴の一つは、文字を右から左に書く点です。
アラビア語が右から左に読む言語であることは、聞いたことがある方も多いでしょう。
なお、右から左に読むのはアラビア語だけではなく、イスラエルで使われているヘブライ語や、イランのペルシア語なども同様です。
そして、アラビア語は単語の中で形が変化するという特徴も持っています。
例えば「b」の音を表す文字は、
ب (語頭)
ـبـ (語中)
ـب (語末)
のように、位置によって形が変わります。
そのため、最初は覚えるのが難しいと感じる方も多いと思います。
アラビア語の文字数自体は28文字で大文字も存在しないため、それほど多くはありませんが、形が独特なこともあり慣れるまで少し大変だと思います。
② アラビア語の単語 ― 3つの子音をもとに、さまざまな単語が作られる ―

アラビア語の単語は、「語根(基本となる3子音)」をもとに作られているのが大きな特徴です。
例えば、「書く」に関係する語根は “ك ت ب(k-t-b)” なので、この子音k-t-bをもとに、母音が組み合わさって、派生する意味の「書いた」 や「本」 、「作家」といった単語が作られていきます。
كتب (kataba):書いた
كتاب (kitāb):本
كاتب (kātib):作家
そのため、規則性が存在しており、語根を覚えればアラビア語の単語を覚えやすくなると思います。
③ アラビア語の文法 ― 動詞が文が始まる―

アラビア語の基本的な語順は、VSO(動詞 → 主語 → 目的語)とされています。
例えば「少年は本を書いた」という文は、
كتبَ الولدُ الكتابَ (kataba al-waladu al-kitāba)
書いた/少年が/本を
という語順になります。
ただ英語や中国語と同じ語順のSVO(主語 → 動詞 → 目的語)もよく使われてきていて、現代口語ではSVOが主流になることも多いそうです。
一方で、日本人学習者にとって難しく感じやすい点として、名詞・形容詞・動詞のすべてが、性別によって形の異なる単語になることが挙げられます。
例えば、
كبير (kabīr):大きい(男性)
كبيرة (kabīra):大きい(女性)
のように、対象の性別によって形が変わります。
この点は慣れが必要ですが、規則性がはっきりしているため、パターンを覚えれば対応しやすくなります。
④ アラビア語の発音 ― 独特だが規則的 ―

アラビア語の発音は、日本語にはない音が多いことで知られています。
例えば、
ح (ḥ):喉の奥から息だけで出す音
ع (‘ayn):喉を締めるような独特の音
ق (q):かなり奥で出す「カ行」の音
などは、最初はとても難しく感じる方が多いそうです。
一方で、アクセントのルールはそれほど複雑ではなく、基本的には書いてある通りに読めば発音できるのが特徴です。
そのため、アラビア語学習者は音そのものに慣れてしまえば、発音はあまり難しくないと感じる方も多いです。
⑤ アラビア語を学ぶメリット ― 20ヵ国以上の国で使えて、新しい文化圏に触れられる ―

アラビア語を学ぶメリットは主に2つあると思います。
1つ目は、中東や北アフリカ世界への理解が深まることです。特にエジプトはアラビア語圏の文化の中心地と言われていて、エジプトの映画や音楽はアラビア語圏全体で普及しているそうです。
そのため、サウジアラビアやモロッコの人々でもエジプト方言を理解できる人は多いです。
また、サウジアラビアは近年、非イスラム教徒にも観光を開放し始めていて、今後は日本人旅行者も増えていくと考えられます。

そうした中で、少しでもアラビア語が話せると、旅行や現地での交流の場面で役立つかもしれません。
そして2つ目のメリットは、日本人にとってなじみの薄い文化を、より深く体感できる点です。
基本的に多くの日本人が勉強するのは、英語やスペイン語といったヨーロッパの言語や中国語や韓国語といった東アジアの言語です。
これらの言語も確かに需要は高く文化的にもとても魅力的なのですが、日本人にとって比較的なじみがある国の言語ばかりだといえるでしょう。
その一方で、アラビア語を話す中東や北アフリカといった国々は日本人にとってあまりなじみがなく、これまで知らなかった新しい価値観や文化に触れることができると思います。
まとめ

アラビア語は、独特な文字を使い、語根をもとに単語が作られ、さらに地域ごとにさまざまな方言がある言語です。
そのため、最初は学習が難しいと感じるかもしれませんが、仕組みを理解して慣れていくとスムーズに身に付けられるようになると思います。
中東や北アフリカの文化や社会を深く知るための手段として、アラビア語はとても魅力的で将来性の高い言語だと言えるでしょう。
