ITC(アイティーシー)は、1910年にコルカタで設立されたインドを代表する大手企業グループです。
もともとはタバコ会社としてスタートしましたが、現在では食品、日用品、ホテル、農業、紙製品まで幅広く手がけるインド有数のコングロマリットに成長しています。
ビスケットやインスタントヌードル、石けん、ノート、ホテルまで、インド人の日常生活のあらゆる場面でITCの商品やサービスが使われています。
この記事では、ITCの事業内容やこれまでの成長、今後の展望を、できるだけ分かりやすく紹介していきます。
① ITCの事業を分かりやすく解説
ここでは、ITCが展開している主な事業を1つずつ見ていきます。
タバコ(Gold FlakeやClassicなど)

ITCはタバコ事業でとても有名であり、インドの紙巻きタバコ市場では約70%以上のシェアを持っています。
Gold FlakeやClassicなどのブランドが特に売れていて、このタバコ事業がITCの安定した収益源になっています。
インド全土に巨大なネットワークを持っており、都市のコンビニやスーパーだけでなく、地方の小さな雑貨屋や屋台レベルまでITCのタバコが行き渡っているのが強みです。
食品(ビスケット・インスタントヌードル・スナックなど)

ITCの中で、今いちばん成長しているといえるのが食品事業です。
Sunfeast(ビスケット)、Yippee(インスタントヌードル)、Bingo(スナック)、Aashirvaad(小麦粉)などのブランドを展開しており、どれもインドではとても知られています。
特にAashirvaadの小麦粉はインドの家庭のキッチンにほぼ必ずあるレベルで有名だそうです。
日用品(石けん・シャンプーなど)

ITCは、石けんやシャンプー、スキンケアなどの日用品も展開しています。
Vivel(石けん)、Fiama(ボディウォッシュ)、Engage(香水)などのブランドを持っています。
個人的にはインド発のボディースープや香水などは今まで聞いたことがなかったので興味深いと思いました。
ホテル(ITC Hotels)

ITCの子会社であるITC Hotelsは、インド国内に100軒前後の高級ホテルとリゾートを展開しています。
特にデリーのITC MauryaやチェンナイのITC Grand Cholaなどが有名であり、政府関係者なども使う格式の高いホテルとして知られています。
外資のマリオットやヒルトンなどに対抗できる、数少ないインド生まれの高級ホテルブランドともいえます。
農業プラットフォーム (e-Choupal)

ITCは「e-Choupal(イー・チョウパル)」というデジタル農業プラットフォームを運営しており、インド中の農家と直接つながって、小麦や大豆、コーヒー、スパイスなどを中間業者なしで調達しています。
この仕組みを通じて集めた農産物は、Aashirvaad(小麦粉)やSunfeast(ビスケット)、Bingo(スナック)といったITCの食品ブランドの原料として使われます。
そのため、これによって他の競合よりも安く原料を調達することが可能となっています。
② ITCのこれまでの歩み

ITCは1910年に、イギリス系のタバコ会社としてインドで事業をスタートしました。
最初の頃は、「Gold Flake」 や 「Bristol」 といった紙巻きタバコ(シガレット)をインドで製造し、販売していました。
その後イギリス植民地の時代が終わると、インド企業として独立し、タバコ事業で大きな利益を出しながらも、少しずつ他の分野にも進出していきます。
そして、1970年代以降はホテル事業に参入し、2000年代からは食品と日用品に本格的に力を入れ始めました。
SunfeastやAashirvaad、Bingoなどの食品ブランドがヒットし、「タバコ会社」から「生活ブランド企業」へとイメージを大きく変えていきます。
現在では、売上は年間7,000億ルピー超規模あり、インドでもトップクラスの総合消費財グループになっています。
③ ITCのこれからの展望

ITCは現在は収益の約40%がタバコ事業ですが、これからは食品や日用品ビジネスをどんどん大きくしていくと考えられます。
その流れの中で、AashirvaadやSunfeast、Bingo!といった食品ブランドや、石けん・シャンプーなどの日用品ブランドをもっと育てていき、インドの家庭の定番メーカーになるのが狙いです。
タバコで稼いだお金を、新しいブランド作りの強化に回し、将来的にはたばこに頼らないビジネスモデルへシフトしていくイメージです。
インドの中間層が増えるほど、食品や日用品ブランドの消費は増えていくので、この戦略はかなり強力になっていきます。
まとめ
ITCは、タバコ、食品、日用品、ホテル、農業まで幅広く手がけているインド屈指の巨大コングロマリット企業です。
AashirvaadやSunfeastのような家庭向けブランドと、タバコ事業の安定収益を組み合わせたビジネスモデルが特徴的といえます。
個人的には、既にある安定収益を使って新しいブランドをどんどん育てていける、かなり賢い会社だと思います。
